「ＤｅＮＡ６－１６阪神」（２７日、横浜スタジアム）

　大歓声に包まれる白球を、見つめながら阪神・福留は一歩、二歩と一塁へ歩を進めた。両手には確かな感触が残る。快音を残してバックスクリーン方向へ飛び出した打球は、失速することなく電光掲示版に直撃した。試合をひっくり返す逆転３ラン。主将が一振りで試合の主導権を引き寄せた。

　「最近はずっと投手に迷惑ばかりかけていたので、相手のミスもあったので、もらったチャンスを何とかしたいなという思いでした」

　２点を追う四回。安打と失策で無死一、二塁の好機で打席を迎えた。飯塚の投じた初球、真ん中低めの１４２キロ直球を強振。力強くすくい上げた打球は、２４日・広島戦以来となる７号３ラン。勝負強さを発揮した。

　勢いは止まらない。４点リードとなった直後の九回１死三塁で打席に立つと、平田から右翼フェンス直撃の適時二塁打で応戦。チーム一丸となった猛攻で相手を消沈させ、この回一挙７得点を奪うビッグイニングを作り出した。

　常に広い視野で仲間の動きにも気を配る。この日の試合前練習では、三塁でノックを受けていた陽川がフライを捕球するために上を見ながら走っていると、キャッチボール中にもかかわらず突然大きな声を響かせた。「危ない！ボール。危ない！」と足元に転がるボールを指摘。踏むとケガをしかねない。防ぐことができた陽川もホッとした表情を浮かべて感謝した。

　今季最多の１７安打１６得点で快勝。「ずっと点が取れずに来たので、こうやってしっかり点が取れるというのはいいことですけど、少しずつ分けたいなと思いました」と笑顔。頼れるベテランが、バットでチームを連勝街道へと導いていく。