大山、今季初の猛打ショー 将の信頼に上昇気配!4戦連続安打

 「阪神5-4巨人」(26日、甲子園球場)

 無心でバットを振った。夢中でグラウンドを駆けた。ヒーローの声が響くベンチ裏。阪神・大山は大粒の汗を流しながら、足早にクラブハウスへと消えた。「右方向を狙った訳じゃないですけど」。笑みはない。それでもサヨナラに欠かせなかった3安打。もがき、苦しんだ今季初の猛打賞だ。

 2点を追う二回1死、カウント2-2から内角の直球をギリギリまで呼び込み、右前に落とす安打で出塁した。江越の左翼線二塁打に失策も絡んでホームを踏むと、同点の三回は2死一、二塁で中前適時打。五回には右中間を破る三塁打を放った。「ポイントがしっかりしていた分、いいところに落ちたと思います」。確かな手応えも得た3本の安打だ。

 レギュラーを確約された2年目。大山は苦しんでいる。4月29日の広島戦で今季初めてスタメン落ちを経験。9戦ぶりに先発出場した今月9日の巨人戦だった。初回、守備で野選から先制点を失うと、七回に二塁走者でけん制死。攻守で敗戦につながるミスを犯した。試合後、平野打撃コーチが自室に呼んだ。

 「失敗しない選手なんていない。でも失敗できるのは、試合に出ているからだろ。ここで逃げるか、逃げないかは自分次第。カッコ悪くてもいい。レギュラーとして必要だと思われる存在になろう」

 16日のDeNA戦。当初スタメン予定ではなかったが、金本監督が試合開始直前に名前を入れた。「チームを背負う存在になれ」という期待、無言のゲキだった。結果的に東の前に3打数無安打。それでも以降は状態が上向き、この日を含めて4試合連続安打。指揮官も「上がり目ですから。期待していますし、打ってくれるものと思っている」と信頼を口にした。

 打率・196。満足感はまだない。早出特打に居残り特打。猛練習の日々を過ごす。「食らいついてという気持ちです」と大山。逃げずに向き合ってきたからこそ、1球、1打席の執念が結果につながってきた。真のレギュラー、中心選手へと続く道。一歩一歩踏みしめながら、2年目の階段を上がっていく。

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