福留サヨナラ犠飛でカープに一矢 40歳の夏男!10グラム軽いバットが奏功
「阪神5-4広島」(17日、京セラドーム大阪)
おいしいところは逃さない。4-4の九回、1死満塁。絶好のチャンスで阪神・福留孝介外野手(40)がセンターへサヨナラ犠飛。チームは今季5度目のサヨナラ勝利を飾った。ベテランは三回に左前適時打、五回にも右翼線へ適時二塁打と2本のタイムリーをマークするなど、この日3打点の大活躍。8月好調の“夏男”が先頭に立ち、首位広島に最後まで食らい付く。
笑顔で囲む仲間の中で、一層輝いた笑みを浮かべたのは福留だった。歓喜のウオーターシャワーを浴びてびしょびしょに。チーム最年長がサヨナラ犠飛を放って接戦に終止符を打った。
4-4の九回1死満塁。1ボールから捉えた打球は、中堅定位置付近まで高々と舞った。丸が捕球しバックホームするが、三走・俊介が悠々と生還。激闘を締めくくり、一塁ベースを回っていたベテランのもとへ、ナインが駆け寄った。手荒い祝福にも40歳は笑顔。お立ち台で「素直にうれしいです」と話し、再びファンの大歓声を受けた。
みんながつないだ絶好のチャンスだった。「おいしいと思いながら打席に」と言いつつも、「先頭で誕生日の俊介が出てくれて、北條もあれだけ執念を見せてつないでくれた」と主将。そして「たまたま俺が決めたけど、全員がつないでくれたから」と、チームメートに感謝の言葉を口にした。
三回には左前へ適時打、五回には右翼線への適時二塁打を放ち、チームを劣勢から救っていた。そんな調子がいい中でも、打席には工夫が現れていた。七回の第4打席。普段のバットよりも10グラム軽いバットを持って打席に入った。その打席は二直に倒れたが、続く5打席目で決勝の一打。「自分の感覚で。たまたま結果出てくれてよかった」。培ってきた経験で勝利に導いた。
勝負強さはさすがだ。指揮官も全幅の信頼を寄せる。「もうあの場面になると、ほぼ決めてくれるだろうなという確信がありました」。今季何度も見せてきた、重要な場面での大仕事。金本監督の抱いた確信を裏切らず、またしても結果で応えてみせた。
同一カード3連敗を止めた。さらに糸井も1軍に加わった。福留は超人復活に備える意味も込めて、左翼の守備もしっかりと準備はしていた。再び虎の攻撃陣が厚みを増す。いま一度、上を目指して-。「目の前の一つ一つ、しっかり勝っていくだけ。いい試合ができるように」。先のことを考えず、目前の勝利を全力で奪う。