スタンがM点灯許さん!宿敵Gを完封

 「巨人0‐4阪神」(2日、東京ド)

 これが猛虎の意地だ。7・5ゲーム差、絶望的な数字にもあきらめることはなかった。4番・マット・マートン外野手(31)が先制打など2打点を挙げれば、先発ジェイソン・スタンリッジ投手(34)は散発3安打に巨人打線を封じ今季2度目の完封勝利。これで東京ドーム5連勝。和田阪神、真夏の逆襲が始まった。

 宿敵を封じ、そして猛虎に一筋の希望の光を灯(とも)した。気迫の119球。大役を果たしたスタンリッジが、好リードの女房役・藤井彰とマウンド上で抱き合い、さらに高々と持ち上げ、手荒に感謝の意を示した。

 「巨人を倒したいという気持ちは、全員が持っている。初戦を勝てたのは、勢いがつく意味でも大きかった」。高揚する気持ちを抑えず、早口でまくし立てる。それほど大きな1勝だった。

 まさに鬼気迫る投球‐。初回に1点の援護を受けると、立ち上がりから全開で巨人打線へ挑む。四回1死一、二塁の危機を無失点で切り抜けた後には、藤井彰を呼んでベンチで話し込んだ。

 「アグレッシブにいきたいと、自分がどう投げたいかを伝えた。藤井さんとも考えが一致したよ」。強大な敵を相手に妥協は許されない。その思いは、試合終了まで途切れることはなかった。

 当初は2戦目の先発予定で中7日の調整をしてきたが、榎田の離脱後に初戦を託されることになった。この試合まで首位・巨人と7・5差。1つも落とすことが許されない。「プレッシャーを普段以上に掛けないように準備をしてきた」。それは足元にも表れる。

 この日は、ストッキングを上げたクラシックスタイルで登板。「何かを変えたいという思いがあった」。迷信を信じないという男が、勝利のために必死に何かを得ようとしていた。それが和田監督をして「スタンに尽きる!」と言わしめる投球へとつながった。

 結果は今季2度目の完封。リーグトップの防御率は2・21に。今春キャンプで「トップ3に入りたい」とした防御率。タイトルへの思いは強い。

 プロ2年目の98年。ルーキーリーグで規定投球回到達も防御率は7・00に終わる。だが屈辱をバネに、翌年は「人生で初めてタイトルを争った」と、1Aで最優秀防御率のタイトルを獲得した。

 今季も「防御率は気にして見ている。他の投手より優れているのは、うれしいこと。モチベーションになる」という。

 ヒーローインタビューでは「藤井さんの方がヒーローに値する。(六回に)盗塁を刺してくれた時は、一番うれしかった」と自身を支えた“良妻”に再び感謝した。どこまでもナイスガイ。その笑顔が、猛虎に漂う暗雲を払った。

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