和田監督逆転サヨナラ「雰囲気あった」

 「交流戦、阪神4-3ロッテ」(9日、甲子園)

 願いが現実と化した。衝突音。軌道。風…。熱い視線を送る先で、浜風をつかまえた弾道が一直線に伸びた。固く握り締めた右拳が確信を表す。ベンチを飛び出し、コーチ陣と握手を交わす阪神・和田監督の顔は赤く染まり、心なしか涙腺が緩んでいるように映った。首位再奪取のサヨナラ勝ちだ。

 スコアボードは敗勢を示していたが、不思議とこうなることを予期していた。甲子園無敗を誇る藤浪が、六回途中までに12安打を浴びながら、3点で持ちこたえた。救援陣がまたゼロを刻み続けた。何かが起こる‐。聖地を夕闇が包み始めた午後6時21分。虎将の読みは当たった。

 「晋太郎が甲子園で負けてないから、総力戦で追いついて、ひっくり返そうという雰囲気があった」。劇的勝利を手中に収めた直後の監督会見。指揮官がベンチ内に漂った空気を言葉に表した。

 苦言も呈した。「本当なら野手が晋太郎を引っ張ってやらなきゃいけないのに」。初回、三遊間深くに飛んだ井口の打球を好処理した鳥谷。三回1死では、新井が角中の一塁線の打球に飛びついてアウトを積み上げた。

 だが、四回に新井良が三ゴロをファンブルしてルーキーの足を引っ張り、打線は八回までに12残塁の拙攻を繰り返した。勝ったからとはいえ、その過程を看過することはできなかった。

 藤浪の負けを消し、ミスの度合いを少しだけ薄めたマートンの劇弾が、再び首位の座を運んできた。「一進一退を繰り返して流れみたいなのが出てきた。首位と言ってもまだ守る時期じゃない。攻めの気持ちを忘れずに、1試合1試合戦っていきます」と和田監督は唇を結んだ。

 貯金は今季最多の12。4連勝のうち、3勝がサヨナラ。勢いは加速の一途をたどる。前回は一日天下で宿敵にその座を明け渡したが、もう手放しはしない。

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