稀勢の里「自分信じて」白鵬と全勝対決

 「大相撲夏場所13日目」(24日、両国国技館)

 悲願の初優勝を狙う稀勢の里は、鶴竜との大関対決を寄り切りで制した。横綱白鵬も大関琴奨菊を下手出し投げで下し、ともに全勝をキープ。両者は14日目に直接対決する。北の湖理事長(60)=元横綱=は、稀勢の里の13連勝を高く評価。今場所優勝を逃しても、名古屋場所(7月7日初日・愛知県体育館)で綱とりがかかることを示唆した。また、東幕下7枚目の大砂嵐(21)=大嶽部屋、エジプト出身=は十両の明瀬山を寄り切って全勝優勝を決め、新十両昇進を確実にした。

 稀勢の里は東の控えで白鵬の白星を見届けると、表情を変えずに立ち上がった。9051人が詰めかけ、平日にもかかわらず満員御礼が出た国技館。「稀勢の里頑張れ!」「キセ、頼むぞ!」。06年初場所の栃東以来となる日本出身力士の優勝を望むファンの大声援を背にして、花道を引き揚げた。

 鶴竜に何もさせなかった。立ち合いで右足を力強く踏み込み、左を差して前進。最後は右上手を取り、盤石の形で寄り切った。「思い切って前に出ようとした。体は動いている」とうなずいた。

 白鵬との全勝対決。5日連続で自己最高を更新する13連勝で勢いは加速しているが「自分を信じてやるだけ。あまり考えすぎず、思いきってやる」と、醒(さ)めた表情のまま言った。

 北の湖理事長(元横綱)は「13連勝は簡単にできるものではない。十分評価できる。これからの一勝一勝に重みがある」と興奮気味に話し、来場所に綱とりがかかることを示唆した。横綱昇進の条件は「大関で2場所連続優勝」または「準ずる好成績を挙げた力士」。87年12月に優勝なしで双羽黒が廃業して以降、誕生した8横綱は2場所連続優勝で昇進しているが、貴乃花が03年1月に引退して以来不在の日本人横綱を望む、角界の事情もある。

 母校の長山中(茨城県龍ケ崎市)では、14日目と千秋楽にパブリックビューイングを行う。同牛久市の郷土後援会では、市役所で用いる垂れ幕、JR牛久駅、ひたち野うしく駅で使う横断幕の準備を終えた。期待され続けた稀勢の里の初優勝を、誰もが待ち望んでいる。

 突然の覚醒にも「いろんなことが重なったから。場所前だけじゃない。入門してからここまで稽古してきたから」とサラリ。勢いではない。猛稽古で培った強さは本物だ。

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