【京大・安部教授 科学よもやま話】「次の二次電池」でより良い世界の実現を!

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 スマホの電池、充電したのにすぐ無くなる!怒らないでください。それは使い過ぎです。充電できない乾電池を使って、電池が切れても怒らないですよね。電池には2種類ありまして、充電できない電池を一次電池、充電できる電池を二次電池もしくは蓄電池と呼びます。充電池とは言いませんのでご注意を。車やバイクに入っているバッテリーは鉛畜電池というもので二次電池です。

 この電池の歴史は古くて、1800年半ばに発明されました。二次電池で言えば、1900年までにもう一つニッカド電池が発明されています。ここから次の二次電池が出るまでにほぼ100年かかっています。ニッケル水素電池とリチウムイオン電池ですが、1990年、91年に市販されています。

 この4つの二次電池は今でもいろいろなところで使われています。21世紀に入って、平成から令和に代わろうとしている中、次の二次電池は開発されないのか、という疑問があるかもしれませんが、世界中で研究されています。

 ただ、なかなか難しいのが二次電池です。化学反応を利用して、エネルギーを生み出すのが電池ですが、充電するときには、エネルギーを使って、プラス極とマイナス極の状態をほぼ完璧に元通りにしないといけません。最初の状態を100として、電池を使い切って0にします。充電して、100が99まで元通りになったとします。99点!点数としては素晴らしいのですが、この「1%分」がくせものです。

 次は99から始まって、また、1%分戻らないとしますと、300回も繰り返すと100からほぼ0になってしまいます。これは困りますよね。なので、99ではダメで、99・95くらいまで元通りに戻す必要があるのです。スマホに入っているリチウムイオン電池は、4つの二次電池の中で一番エネルギーを貯めることができるので、太陽光発電などで作られる再生可能エネルギーを貯める二次電池として期待されています。

 大量のエネルギーを貯めるために作られた二次電池がもう2つあります。レドックスフロー電池、NaS(ナス)電池というものですが、これらの電池は北海道や九州などで再生可能エネルギーの蓄電用に設置されています。次の二次電池でより良い世界に!はい、頑張ります。

 ◆安部武志(あべ・たけし)2009年、40歳で京都大学工学部研究科教授に就任。電池技術委員会賞、炭素材料学会学術賞などを受賞。京大工学部卒、大阪府出身、50歳。趣味はゴルフ。

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