昭和プロレス、仮面ライダー、番場蛮…新日本プロレス・メイ社長が明かす「原点」

プロレス愛にあふれた経営のスペシャリストとして、その手腕が期待される新日本のメイ社長=都内
プロレス愛にあふれた経営のスペシャリストとして、その手腕が期待される新日本のメイ社長=都内
プロレス愛にあふれた経営のスペシャリストとして、その手腕が期待される新日本のメイ社長=都内
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 新日本プロレスのハロルド・ジョージ・メイ社長兼CEОは少年時代の1970年代を日本で過ごし、プロレスによって異国の地での「言葉の壁」を乗り越えた経験を持つ。就任から4か月。日本コカ・コーラ副社長、玩具大手タカラトミー社長を歴任した経営のスペシャリストを直撃し、その原点を聞いた。

 メイ社長は1963年、オランダで生まれ育った。父親の仕事の関係から8歳で来日。横浜で暮らした。流ちょうな日本語をしゃべる今からは想像もつかないが、当初は孤独感を味わったという。

 「オランダ語しか話せない自分は、インターナショナルスクールでは英語、外では日本語という環境の中にて、クラスメートの言葉も雑音にしか聞こえませんでした。友だちは1人もいないし、追い詰められた心が崩壊しそうでした」。来日から半年ほどは「学校にはもう行きたくない、オランダに帰りたい」と毎日思っていたというが、親には言わなかった。両親の苦労も感じ取っていたからだ。

 そんな当時の思いは新日本プロレス公式サイト内のコラム「ハロルドの部屋」の第14回「父との絆」でつづられている。父と過ごす貴重な時間がテレビのプロレス中継だった。

 「ザ・デストロイヤーやアブドーラ・ザ・ブッチャーをよく覚えています。いま思えば言葉のいらないプロレスだからこそ、夢中になれたのだと思います。大好きな父と一緒にプロレスを見ている時間は、日々の嫌なことをすべて忘れて、ストレスを発散できる、親子の至福の時間でした。学校でつらいことがあっても、頑張れ、負けるなとプロレスから学んだ闘志がいつも自分を奮い立たせてくれました。夢中になっているうちに日本の生活にも慣れ、日本が好きになっていました」

 プロレスと同時期に熱中したのが仮面ライダーだった。「シリーズは71年に始まっているので、私は初期のファンだったと思います。主題歌を丸暗記して少しずつ歌詞の意味を調べ、そこから日本語を学びました。『迫る』の意味は分かったが、『ショッカー』の意味が分からなかった。調べても辞書に出てこなくて(笑)。1年で日本語が少し話せるようになりました」

 野球アニメの「侍ジャイアンツ」も面白かった。「番場蛮ですよね。エビ投げハイジャンプ魔球とか大回転魔球とかあって、もうこれ以上ないだろうと思ったら、ボールをつぶして投げる分身魔球とか。『あるわけないだろう!』と思いながら見ていました(笑)」。記者も含めて70年代に小中学生だったオジサンたちによる居酒屋の会話が弾んだ。

 日本には13歳までいてインドネシアに引っ越し、大学から米国に移住。その間、日本のプロレスに対してブランクはあったが、大学卒業後、仕事で再来日。「どっぷりつかり、どんどん好きになった」のは5~6年前からだという。タカラトミー社長時代から親交のあった新日本・木谷高明オーナーのオファーを快諾し、今年6月、新社長に就任した。

 「驚きましたが、うれしかった。やってみたいとワクワクしました。プロレス愛があってこその経営。自然に不思議な力が出るというか」と振り返る。

 玩具からプロレスへと分野が変わっても思いは一つ。「おもちゃもプロレスも『楽しみ』がカギになる業種。“ワクワク”を求めている点で似ている。今、おもちゃを買っているのは『ヤングアダルト』と呼ばれる大人が多く、プロレスのユーザー層と重なる部分も大きくある」という。

 世界最大のプロレス団体「WWE」(米国)に対しても独自のスタンスを取る。「我々は日本のプロレス。半世紀近くもの間、培ってきた試合のスタイルは変えず、『ニュー・ジャパン』として世界の人々に見てもらいたい。選手層も厚いです」と自信を示した。

 「プロレスの認知度は日本で極めて高く、プロレスとは何かを知らない人はほとんどいないと思います。ただ、実際に試合をじっくり見ている人はまだまだ少ないですし、プロレスに偏見を持っている人も少なくありません」と指摘。その上で「私の役目は、現代的なビジネスモデルに基づき、新日本を強固な経営基盤を持った組織として成長させること。収益性を高め、世界の市場で支持される大きな団体に成長させること。国内外問わず、新しいお客様を獲得すること。プロレスの可能性は非常に大きいです」と前を向いた。

 (デイリースポーツ・北村泰介)

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