「キャプテン翼」の高橋陽一氏が挙げた「ドカベン」で好きなキャラ2人とは?翼の“陰の主役”は石崎

初の自叙伝「キャプテン翼のつくり方」を手にする高橋陽一氏=都内
自叙伝の出版記念サイン会で「キャプテン翼」のファンにサインする高橋陽一氏=都内
初の自叙伝「キャプテン翼のつくり方」のサイン会に臨む高橋陽一氏=都内
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 世界中で愛読されているサッカー漫画「キャプテン翼」の作者、高橋陽一氏が3日夜、都内で初の自叙伝「キャプテン翼のつくり方」(リピックブック)発売記念の対談とサイン会に登場した。高橋氏は少年時代から影響を受けた作品として水島新司氏の野球漫画「ドカベン」を挙げ、同作に登場する「好きな選手」は里中智と不知火守だと明かした。

 里中は山田太郎、岩鬼正美、殿馬一人と共に“明訓四天王”と称された右アンダースローの投手。不知火は明訓高校と同じ神奈川県予選のライバルとなった白新高校の剛腕エース。いずれも「イケメンの投手」という共通点がある。“王道”の山田でも、岩鬼や殿馬でもない点について、高橋氏は「当然(彼らも)好きなんですけど」としつつ、脇役が充実している「ドカベン」からいかに「キャプテン翼」が影響を受けているかを明かした。

 「ドカベンでも、山田太郎に対してライバルが出て来るのをわくわくしながら子供の頃に読んでいた。そういう漫画を描きたいなと思っていたので、ライバルをいっぱい出すというのは自分の頭の中にあった」。主役の大空翼に対する、若林源三、日向小次郎、三杉淳、岬太郎、石崎了…。「キャプテン翼」に登場する脇役キャラクターのエピソードやイラストも今回の自叙伝で描かれている。

 高橋氏はその中でも「自身の分身」として「石崎君」を挙げた。「翼みたいな天才ではないが、自分の中では“陰の主役”。天才に生まれてこなかった、私を含めて多くの人たちの分身のような存在です」。石崎といえば、代名詞の“顔面ブロック”でシュートを止める、不器用で泥臭いDF。日本代表FW岡崎慎司が好きな選手として挙げている点も、ポジションは違えど、そのプレースタイルを通じて納得できる。

 イベント後、高橋氏に確認したいことがあった。ここ2年でJ1には世界的なプレーヤーが3人も移籍した。その背景に「キャプテン翼」の影響があるかどうかについてだ。

 今年、スペイン代表のアンドレス・イニエスタ(神戸)とフェルナンド・トーレス(鳥栖)が加入。昨年、神戸に入団した元ドイツ代表のルーカス・ポドルスキとともに、日本で現役のキャリアを積んでいる。3人の共通点は「キャプテン翼」を愛読してきたということ。同作を通じて、日本に対する興味や憧れを抱いていたことも、Jリーグに飛び込んだ一つの要因としてあるのではないか-。

 そう見解を述べると、高橋氏は「そうです。うれしいですね」と否定や謙遜をすることなく、素直に受け止めた。メッシやネイマール、Cロナウドからも自伝作品のオファーがあったというほど、「キャプテン翼」を生み出した高橋氏は、世界のサッカー界からリスペクトされている。

 連載開始から38年。高橋氏は「あと2年で60歳になるので、そろそろ人生を振り返ってもいいのかな」という思いで出版した自叙伝を手にした。少年時代に「ドカベン」から脇役キャラの面白さを学び、その表現世界をサッカーを通して開花させた同氏。今後もサッカーに軸足を置きながら新作を描き続ける。

 (デイリースポーツ・北村泰介)

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