ダビド・ビジャ氏「どちらに転んでもおかしくない」 元スペイン代表が占う運命の一戦
サッカー日本代表は、12月1日午後10時(日本時間2日午前4時)から1次リーグ突破をかけてスペイン代表との最終戦に挑む。勝てば無条件で2大会連続4度目の決勝トーナメント進出が決まり、負ければ敗退となる。スペイン代表として2010年W杯南アフリカ大会で優勝を経験し、J1神戸でもプレーしたダビド・ビジャ氏(40)が29日までに取材に応じ「どちらに転んでもおかしくない」と運命の一戦を占った。
母国スペインと現役最後の地・日本の対戦を前に、ビジャ氏の胸中には複雑な感情が入り交じっている。「(両国が)W杯で戦うのはとても楽しいこと。スペイン人なのでスペインに勝ってほしいが(結果は)どちらに転んでもおかしくない」。
スペイン、ドイツのW杯優勝経験国が同居したE組を「大変難しいグループ」と表現。「日本とコスタリカにも十分突破する可能性がある」と語っていたが、その見立て通り、全チームに突破と敗退の可能性が残った。
ビジャ氏はスペイン代表として06年ドイツ、10年南アフリカW杯に2大会連続で出場した。イニエスタ(現神戸)シャビ(現バルセロナ監督)らを擁した10年大会ではチームを初優勝に導き、4戦連発を含む5ゴールで得点王にも輝いた。
3大会ぶり2度目の世界一を目指すスペインには20歳ペドリ、18歳ガビといった若き才能が台頭しているが、世界的名手は存在しない。日本が警戒すべき選手を問われたビジャ氏は「全ての選手」と答え、「個人に依存するより集団でサッカーをするチームを作っている」と胸を張った。
27日のドイツ戦はスコアこそ1-1に終わったが、相手の激しいプレスを巧みなパス回しでいなすなど、格の違いを見せつけた。ボール保持率では日本が23%しか記録できなかったドイツを相手に56%を記録。長友も「非常に完成度が高い」と舌を巻いた。
劣勢が予想される日本に勝機はあるのか。ビジャ氏は「サッカーはどちらが勝つか分からない」と強調。「試合ではどんなことも起こり得る。可能な限り高いパフォーマンスを準備したチームが良い成果を得ることができる」と、日本の森保監督と同様に「準備」の重要性を説いた。
「W杯で活躍できる能力を持っている」と認める神戸時代の“まな弟子”古橋はひのき舞台に立てなかったが、現役生活の幕を下ろした日本への思いは特別だ。「サッカーはチームスポーツ。一人の選手だけでは試合に勝てない。ピッチに立つ選手もそうでない選手もチームのために準備すること。ピッチに立った時、チームのために最大限のパフォーマンスを実行する。勝利のためにはそれが欠かせない」と、日本へ最大限のエールを送った。
◆ダビド・ビジャ 1981年12月3日、スペイン・アストゥリアス州ラングレオ出身。スポルティング・ヒホンの下部組織からトップチームに昇格。サラゴサ、バレンシアを経て2010年にバルセロナへ完全移籍、欧州チャンピオンズリーグ制覇などに貢献した。アトレチコ・マドリード、ニューヨーク・シティー(米国)でプレーし、19年にJ1神戸に加入。20年元日の天皇杯優勝を最後に現役を引退した。J1通算28試合13得点。スペイン代表では10年W杯南アフリカ大会で得点王に輝き、スペインの初優勝に貢献。国際Aマッチ通算59得点はスペイン代表の歴代最多記録。174センチ、68キロ。利き足は右。