「ロシアＷ杯・１回戦、ベルギー３－２日本」（２日、ロストフナドヌー）

　サッカーのＷ杯ロシア大会を戦う日本代表は２日（日本時間３日未明）、史上初の８強入りをかけて優勝候補のベルギーと対戦して２－３で敗れた。後半にＭＦ原口元気（２７）＝ハノーバー、ＭＦ乾貴士（３０）＝ベティス＝のゴールで２点を先行も、３失点を喫して逆転負け。西野朗監督（６３）は「結果は残念の一言」と悔しさをにじませた。また今後の代表体制について、元ドイツ代表監督のユルゲン・クリンスマン氏（５３）が次期監督の有力候補に浮上していることが判明。西野監督の続投案とともに協会内で検討が進められる。

　迷いなく振り抜いた右足から放たれたボールは、まるで意志を持ったように名手・クルトワの手から逃れ、左サイドネットへと突き刺さった。日本史上初となるＷ杯決勝トーナメントのゴールは、若きアタッカーの右足から生まれた。

　「自分の良さが出たと思いますし、何本も走っていた中で、自分のところにチャンスがきたときには決めようと、そういう気持ちで。僕は予選リーグでも（得点を）取ってなかった。正直チャンスがなくても走ろうと思っていた。来たところで右（サイド）でも結果が出せた」

　長い距離を走り、ドリブルからのシュート。それは、長い時間をかけて磨き上げてきたものだった。浦和時代の２００９、１０年。当時のフィンケ監督は１週間に休日を２日設け、その日は自主練習も禁止。徹底した管理体制を取っていたが、原口は下部組織の練習場でこっそりスタッフとボールを蹴り続けていた。

　トップ昇格の１７歳まで、原口が所属するジュニアユースとユースで主務を務めた児玉賢太郎氏は「どうしようもないサッカー小僧なんで。休ませていたら考えすぎてダメになっちゃうかなと思って」と原口を誘い出し、練習を続けた。「フィンケ監督は厳しい人だったので、監督にバレたらオレはクビだなって話ながらやってましたね」。児玉氏からのボールを受け、ドリブルからのシュートを繰り返す。下部組織時代だけではなく、トップ昇格後も努力を続けてきたピッチには、原口から後輩たちへ「ここからみんなも世界を目指そう」というメッセージが飾られている。

　本職とする左サイドではなかったが、初のＷ杯では４戦中３試合に先発。価値ある一撃も決めたが、原口は満足はしない。「正直自分として一歩前に進めた感じはあるけど、でも惜しいじゃダメ。惜しいで終わらせたくなかった。（世界との）力の差はまだある。でも、本当に楽しかったかな。もう一回チャレンジしたい」。さらに強い自分となって、再びこの舞台へと挑戦する。