大久保スタメン積極プレーも決定機外す

 「ブラジルW杯・C組、日本0‐0ギリシャ」(19日、ナタル)

 侍だった。決定機を外した日本代表FW大久保は、しっかりと前を向いて語った。「自分を信じてやったので、悔いはないよ」。その言葉には一片の偽りもなかった。

 最後の瞬間まで貫いた。前線から激しく相手を追い回し、隙があれば積極的にミドルシュートを狙った。放ったシュートは、本田と並ぶチーム最多の4本。引きこもる相手に、右サイドを起点に流動的に動き回ってゴールを狙った。慎重に仕掛けるチームには「もっと早く縦に入れろ!!」と要求し続けた。

 後半23分にはDF内田の折り返しに反応。ゴールの匂いを感じたポイントまで駆けたが、直前でバウンドが変わる不運もあってボールは枠外へ。ゴールへの角度がほとんどなかった一撃はネットを揺らせず、ナタルの夜空を仰いだ。

 この日は、昨年亡くなった父・克博さん(享年61)の誕生日だった。特別な一日に、体はきれていた。歓喜は生まれなかったが、走り続ける姿は今の日本に足りないものが詰まっていた。

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