国際プロサッカー選手会(FIFPRO)は7日、アジアサッカーにおける選手の稼働状況や長距離移動についてオンライン会見を開き、日本代表で主将を務めるDF吉田麻也(33)=サンプドリア=も参加して環境改善を訴えた。
FIFPROによると、吉田は2018年6月から22年6月までの4年間で地球7・93周分に相当する31万8000キロを移動し、12大会で計154試合(1万2692分)に出場したという。特に今季は21年9月からW杯アジア最終予選もあり、日本代表での出場試合数は昨季の8試合から16試合に増え、総移動距離は6万1799キロから12万7215キロに、総移動時間は80時間から163時間に倍増した。
吉田は「正直、すごく驚いている」と率直な感想を述べ、多くの欧州組が時差による睡眠不足や日本代表としての重圧で「心身ともにストレスを抱える状態」と明かした。さらに所属クラブに戻ると、移動や時差による疲労が蓄積していると判断され「ベンチに追いやられることが多々ある。それも大きな問題」と訴えた。
吉田は国際Aマッチデー(IMD)期間の回数が多いために移動距離が増加すると指摘。一度のIMD期間を延長して試合数を消化し、IMD期間の回数を減らすことで移動距離も減少するとの改善案を示した。こういった選手の声が国際サッカー連盟(FIFA)やアジア・サッカー連盟(AFC)に届かない現状について、吉田は「もっと選手の声を聞くべきで、プレーヤーズ・ファースト(選手第一)の概念がないことは信じられない」と厳しく断じた。
タイやベトナムなどで集中開催された今季のアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)1次リーグ東地区では、16日間で中2日の6試合が行われた。日程の決定に対して選手の意見が全く反映されなかったとして、参加クラブの主将が連名でAFCに意見書を提出したが,吉田は「無視され続けている」と憤った。
2010年に国際Aマッチデビューを飾り、日本代表で歴代5位となる117試合に出場。「日程についてはよりタフになっている」と日本代表としての12年間を振り返った。日本サッカー協会(JFA)が千葉市内に「高円宮記念JFA夢フィールド」を開設するなど施設面の充実を図る一方、「こちら側の努力はあるが、運営側、FIFAやAFCの努力は見られない」と不信感をあらわにした。
吉田は長距離移動や時差との戦いも「日本代表としての宿命」と一定の理解を示す。ただ、現代サッカーではよりフィジカルが重要視されるようになっており、長距離移動が選手の過剰な負荷となっていることは間違いない。欧州組の代表選手は選手生命を削りながら代表活動に従事している。吉田は「普通に考えて4年間で地球8周はあり得ない。生物学的におかしい。このままいくと、いつ体が壊れてもおかしくないと切実に感じている」と訴えた。