昭和の香り漂うJ1広島・今津佑太は“叫ぶ男”

 ウリャッ!

 屈強なFWと競り合うたび、J1広島のDF今津佑太は大きな叫び声をあげる。まるで漫画のキャラクターのように、戦う気持ちを前面に押し出しながら、叫ぶ。

 広島の森崎和幸CRMに「叫ぶ選手って普通?」と聞いてみると、かつての伝説的名ボランチは苦笑い。

 「普通ではないですよ。珍しいタイプです」

 一緒に仕事をしているカメラマンが不思議に思ったのか、彼にこんな質問をぶつけた。

 「どうして、叫ぶの?」

 「えっ、高校生の頃から、こんな感じでやっていますけど…」

 どうして、そういうことを聞くのか、と言わんばかりの表情。

 「叫ぶ効果は?」

 「えーっと、球際で負けないようにするとか…。特別な効果は感じていないです」

 なくて七癖、という言葉がある。どんな人であっても、無意識な癖はあるもので、今津の「叫び」もその一種だろう。ただ、この面白い癖が活躍につながっているのなら、これからも続けてほしい。

 実際、彼のプレーは球際で輝く。札幌戦(10日)ではアンデルソン・ロペス、鹿島戦(13日)ではエベラウド。Jリーグを代表するフィジカルを持つストライカーに対して球際で一歩も引かず、パワフルなプレーで戦い抜いた。

 分厚い胸板、キュッと締まった大きなお尻。シャツをパンツに入れるためにグッと引き上げると、そこから発達した太ももがギュッと伸び、セクシーさすら感じさせる。

 一方で、鹿島戦では精密なロングフィードをドウグラス・ヴィエイラにピタリと合わせ、浅野雄也の得点の起点ともなった。後半からはサイドバックでプレーするユーティリティ性も見せる今津を城福浩監督は「対人も強く、空中戦の安定感もある。右足のフィードも武器になる」と信頼する。

 「もっと高いラインで守れると思うし、経験を積めば成長できる」

 整髪料で固めたクラシックな髪型など、どこか昭和の香りを残す今津佑太の自信。頼りになる選手が今年も、広島に来てくれた。

(紫熊倶楽部・中野和也)

 ◆今津佑太(いまづ・ゆうた)1995年7月8日生まれ。山梨県南アルプス市出身。小学2年からサッカーを始める。流通経大付柏を経て流通経大に進学。1年時に内閣総理大臣杯と全日本大学選手権に優勝。4年時にも全日本大学選手権で優勝を果たす。18年にJ2甲府に加入し、3年間でリーグ戦65試合に出場。21年に広島に完全移籍。184センチ、78キロ。ポジションはDF。背番号33。

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