“ゴールアーティスト”寿人のこだわり

 そのスタイルは、「ゴールハンター」というより、「ゴールアーティスト」という表現の方がしっくりくるかもしれない。サッカーJ1広島のFW佐藤寿人(33)は、7月29日の神戸戦で今季10得点目を記録。これで前人未到となる12年連続の2ケタ得点となった。J1通算得点も、歴代トップの中山雅史が持つ157点まであと2点。今季中の達成にも期待がかかっている。

 まさにJリーグを代表するストライカーである佐藤寿。そんな男のゴールへのこだわりを垣間見た。大記録を打ち立てる4日前。ホームに横浜Mを迎えた一戦。2ケタに王手をかけた佐藤寿は無得点に終わったが、チャンスがなかったわけではない。前半ロスタイムにチームはPKのチャンスを得たが、佐藤寿は蹴らずにMFドウグラスに譲った。

 2ケタ達成の絶好のチャンスだったが、それをあえて見逃した理由を試合後に明かしてくれた。それは「僕のわがままです」という。「(12年連続の)2桁得点がかかっていたんで。できれば、流れの中から決めたかった。節目の得点がPKというのは、あまり格好良くないな~と思って。一瞬、迷ったんですけどね。(ドウグラスが)蹴りたくないと言ったら蹴るつもりでした」

 元来、1タッチでの美しいゴールを量産してきた佐藤寿だが、得点手法にこだわるきっかけとなったのは、12年4月に達成したJ1通算100得点のシーンだという。「100点目がPKで、そのシーンがよく流れているのを見て、やっぱり節目の点は流れから決めたいなと」。そう話した4日後に、さらっと達成してしまうところがすごい。

 もちろん、佐藤寿とは違ったこだわりを持っているストライカーもいる。FW岡崎慎司(英・レスター)は「形にこだわりもありますけど、とにかく結果をという気持ちが強いです」と語っていたし、FW大久保嘉人(川崎)も「スーパーなゴールの方が当然気持ちいいけど、PKでもスーパーゴールでも1点は1点」と話していた。得点を量産するストライカーも、タイプがそれぞれだ。

 90分間の中で、ゴールの場面はまさに一瞬。だが、その一瞬にはストライカーの個性が存分に詰まっている。

(デイリースポーツ・松落大樹)

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