J1川崎・憲剛“ラスト等々力”飾る 最後の舞台は元日の国立「勝って完結させたい」
「天皇杯・準決勝、川崎2-0秋田」(27日、等々力陸上競技場)
J1王者の川崎と、同2位のG大阪が2021年1月1日の決勝(東京・国立競技場)に進んだ。川崎は初、G大阪は5大会ぶり6度目の優勝が懸かる。J1勢の出場は準決勝からで、川崎はJ3優勝の秋田に2-0で完勝。今季限りで現役引退するMF中村憲剛(40)は後半41分に途中出場し、本拠地の等々力競技場に別れを告げた。
その光景を、その空気を、その感覚を。体全体で愛する等々力競技場を感じた。勝利を告げるホイッスルが響くと、MF中村は天を見上げて優しく両手をたたいた。「いまだに実感が湧かない。いつもの、勝った後の僕の大好きな等々力競技場です」と語った。
ベンチスタートとなったラスト等々力。2-0となった後半41分からの出場には「すごく個人的なことだけを言えば、もう少し早く出たかった」と苦笑いしたが「全部を焼き付けようと思った。選手としてここに来ることはもうないので。でも個人の感情は抑えて、いつも通りにと思っていた」。勝利から逆算して、チームのために背番号14は走った。
一丸となった守備を敷くJ3王者秋田を相手に苦戦するも、前半39分に細かなパス交換から最後はFW三笘が決めて先制。後半38分にはMF田中が直接FKを決めて勝負をつけた。鬼木監督は「難しかったが、じれずに自分たちのサッカーをしてくれた」。中村憲剛の現役ラストダンスの舞台は、元日の国立競技場に定まった。
サッカー選手としての最終章は、4年前に夢破れた天皇杯の決勝。「できすぎですが、勝って完結させたい」と中村。美しいエンドロールを刻みにいく。