広島カープ球団職員と女子サッカー選手の二刀流“アンジュ3人娘”が奮闘中

カープで働く“アンジュ3人娘”(左から)FW神田、MF金重、MF斉藤
カープでは総務部で働いている金重
グッズ販売に関する業務を担当する斉藤(左)と神田
3枚

 女子サッカーのプレナスチャレンジリーグ(なでしこリーグ3部に相当)西地区で現在、首位を走るアンジュヴィオレ広島(以下アンジュ)に、広島カープの球団職員として働いている選手がいる。MF斉藤礼佳(24)、FW神田若帆(22)、MF金重理沙(23)の3人で、いずれも広島文教女子大付高のサッカー部出身。神田と金重が同級生、斉藤は1学年上の“仲良し3人組”でもある。

 アンジュは選手全員がアマチュアのため選手としての収入はなく、昼間は各自が仕事を持っている。クラブは選手のために働き場所を提供してくれる企業やスーパー、病院など12社と提携。カープ球団も数年前からアンジュの選手を受け入れており、3人は契約社員として働いている。

 斉藤は商品販売部に籍を置き、マツダスタジアム内のショップでグッズ販売を担当。商品物流部の神田はスタジアム近くの物流倉庫でグッズの出荷業務などを行っている。金重は総務部に所属し、受け付けや電話の対応をしたり、選手の移動用チケットの手配も担当するなど幅広い業務をこなしている。

 勤務時間は平日の午前9時30分から午後4時まで。仕事を終えると練習場に向かい、約2時間行われる全体練習に参加する。練習休みは月曜のみ。丸1日休める日はまったくないが、神田は「こういう形で職場を提供していただけるのはありがたい。大変なこともありますけど、苦に感じたことはありません」と感謝する。「やりがいのある仕事です。ミスをしないことと、いつも明るく笑顔で接客することを心掛けています」と斉藤が話すようにサッカー同様、3人は仕事にも全力で取り組んでいる。

 カープで働くことが、サッカーにもいい影響を与えている。金重は「たまにカープの練習も見たりするんですが、試合での素晴らしいプレーの陰には、すごい努力があるんだなと感じます。常に真剣に野球に向き合っている選手からいつも刺激をもらっています」。神田はアンジュとは桁違いのカープグッズの種類と売り上げに驚きながらも「私たちも同じスポーツチームとして少しでもカープに近づくことができれば」と発奮材料にする。

 資金難が心配されたチームは来季の存続が決定。プレナスチャレンジリーグ西地区では首位を走っており、1日に広島スタジアムで行われた2位・スペランツァ大阪高槻との一戦に勝利し、2季ぶりとなる地区優勝に王手をかけた。スタンドにはカープの職員も応援に駆けつけた。

 リーグ戦は残り2試合。主力として活躍する斉藤が「優勝を目指してみんなで勝利をつかみたい」と意気込めば、神田も「自分が点を取って勝ちたい」と気合を入れた。今季出場がない金重は「まずはピッチに立つことが目標。チームの勝利に貢献したい」と奮起を誓った。V逸のカープに代わって、カープで働く“アンジュ3人娘”が栄冠を勝ち取る。

(デイリースポーツ・工藤直樹)

 斉藤礼佳(さいとう・れいか)広島市出身。96年4月6日生まれ。MF。背番号9。7歳からサッカーを始める。広島文教女子大付高、尚美学園大を経て19年にアンジュ入団。

 神田若帆(かんだ・わかほ)広島市出身。97年12月10日生まれ。FW。背番号10。7歳からサッカーを始める。広島文教女子大付高卒業後、AC長野パルセイロ・レディースに3年間在籍し、19年にアンジュ移籍。

 金重理沙(かねしげ・りさ)山口県岩国市出身。97年5月10日生まれ。MF。背番号15。6歳からサッカーを始める。広島文教女子大付高、高田短大を経て伊賀FCくノ一に2年間在籍し、今季アンジュに移籍。

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