浦和・西川 仁王立ち ブレずに無失点「代表を外されて今がある」

 「ACL・決勝第2戦、浦和1-0アルヒラル」(25日、埼玉スタジアム)

 浦和がアルヒラル(サウジアラビア)を1-0で下し、2戦合計2-1として2007年以来10年ぶりにアジアの頂点に立った。日本勢の優勝は08年のG大阪に次いで3度目。後半43分にMFラファエルシルバ(25)が値千金のゴールを挙げた。大会の最優秀選手にはMF柏木陽介(29)が選ばれた。浦和はアジア代表として12月6日にアラブ首長国連邦(UAE)で開幕するクラブワールドカップ(W杯)に出場する。

 最後の最後まで、ブレなかった。猛攻を許しながら、ゴールの番人と化した。無失点で導いた王座。「信じられなかった。望んでいた結果が訪れて、頭が真っ白になった。これが現実かな」。GK西川周作は喜びをかみしめた。

 立ち位置を再認識した1年だった。「苦しい時期でも自分をブレさせない気持ちが大事。ポジション柄、いいプレーが多いとチームも上にいく。そこに意識を置きながら貢献したい」。10月末。秋の欧州遠征で日本代表に復帰した。新たな決意を語る姿があった。

 浦和に移籍して4年目。初めて、壁にぶつかった。5年目を迎えたペトロビッチ前監督の独特な戦術は分析し尽くされ、守備は崩壊。昨季はリーグ最少のシーズン28失点。今季の52失点はリーグで3番目に多い。

 失点の全てに責任があるわけではないが、その重みを最も痛感するのがGK。精彩を欠いた試合があったのも確かだった。52回の屈辱を、その胸に刻んだ1年だった。

 「受け入れるのは難しい状況だったけど受け入れなければ仕方なかった。自分を見つめ直し、いいときと悪いときのブレをなくさないと、そう思いました。レッズに来て3年間はブレなかった。初めての経験でした」。

 厳しい現実に直面した。日本代表正GKの地位は3月のUAE戦で川島(メッス)に奪われた。6月からは招集メンバーからも漏れた。喪失感の中、W杯出場を決めた豪州戦は、あえてスタンドで見つめた。

 「代表を外されて、今がある。メンタルが思っていたより強くなかった。そこに気づいたのが大きかった」。

 支えになったのは身近な存在だった。グラウンドでは土田尚史GKコーチ。プライベートでは夫人の力が大きかった。「ヒサさん(土田コーチ)はパフォーマンス面で言いにくいことも言ってくれた。奥さんはメンタル的な面をサポートしてくれた」。吹っ切れた。

 決勝第1戦は、15本のシュートを許し、レーザー光線の妨害を受けながら1失点に抑えた。準決勝の上海上港戦も2試合で1失点。アジア屈指の攻撃力を誇る相手との4試合を、2失点で切り抜けて見せた。

 「悔しい気持ちの方が大きかった」と振り返る1年。「今までで一番の声援だった。最後まで戦って優勝。幸せです」。この夜、ブレない西川がいた。

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