元アマ世界王者の坪井智也、プロ5戦目で初黒星 世界初挑戦で“南アの井上尚弥”に1ー2判定負け 右目上裂傷で病院直行、試合後会見はキャンセル
「ボクシング・WBC世界スーパーフライ級王座決定戦」(27日、トヨタアリーナ東京)
同級1位の坪井智也(30)=帝拳=が同級2位リカルド・マラジカ(27)=南アフリカ=に1-2で判定負けした。プロ5戦目で初黒星(3勝1無効試合)を喫し、アマチュアの世界選手権金メダリストとしてはプロでも世界王者に輝けば日本男子初の快挙となったものの、霧散。また、バッティングで右目の上を3センチほどカットしたため病院に直行し、試合後の記者会見はキャンセルとなった。
坪井は初回の1分過ぎにバッティングで前頭部を負傷し、激しく出血。それでも圧力を掛けながら速射砲を出していったが、決定打は与えられなかった。相手陣営が「南アフリカの井上兄弟」と称するマラジカ兄の強打を被弾する場面もあり、ジャッジの評価が分かれた。7回にもバッティングで右目の上をカットし、顔を鮮血に染めながら戦い抜いたが、判定結果を聞くと、一礼して足早にリングを去った。
アマチュア時代、21年世界選手権で日本男子初の金メダルを獲得した。ただ、五輪には3度挑戦したものの出場がかなわなかった。事実上の引退状態で後進のサポートに当たっていたが、同学年の堤聖也、ユーリ阿久井政悟、井上拓真、岩田翔吉らがプロの世界王者として活躍する姿を見て、再び闘志に火がついた。「僕もまだまだボクシングを頑張りたい」。24年末で所属していた自衛隊を退職し、昨年1月にプロ転向。28歳で安定を捨てる決断をしたが、妻からは「好きなことを頑張れ。やるなら本気でやらなきゃ」と背中を押された。
家族からは打たれすぎたら引退とくぎを刺されている。「プロはグローブが薄いから何があるか分からない。僕自身、打たれると(選手)寿命が短くなるし、考える能力も減る。いずれにしても打たれずに打つことが最重要」。一方的に攻める唯一無二のスタイルをつくりあげたが、世界初挑戦でくじかれた。
