堤聖也がドネア撃破!団体内王座統一に成功 5階級制覇の43歳レジェンドと激闘も判定2-1で制し「ギリギリでした」中盤大劣勢から大逆転 今後は統一戦希望も井岡一翔戦も視野「戦わせてもらいたい」
「ボクシング・WBA世界バンタム級タイトルマッチ」(17日、両国国技館)
正規王者の堤聖也(29)=角海老宝石=が暫定王者のノニト・ドネア(43)=フィリピン=を判定で2-1(115-113、117-111、112-116)で下し、団体内王座統一に成功。通算成績13勝(8KO)3分けとした。
堤は入場で右袖に同郷熊本の重岡優大、重岡銀次朗の名前を入れたジャケットを着て登場した。開頭手術を受けて引退となった弟・銀次朗と、銀次朗を支えるために引退した兄・優大。重岡兄弟の思いを背負ってリングに立った。
世界5階級制覇王者のレジェンドを相手に堤は1回から積極的に足を動かして隙をうかがう。2回は距離が詰まってきた中で左の応酬が繰り広げられた。3回じわじわとドネアがプレッシャーを強め、左を被弾する場面も。4回は堤が覚悟をもって前へ。攻勢を強める。右を浴びせ、ロープ際に追い詰めて連打を浴びせた。ドネアも終了間際に強烈な右を被弾。さらに強烈な右フックを顎に浴びてぐらついたが、ゴングに救われた。
5回はドネアが前に出て、プレッシャーを強め、着実に堤に有効打を浴びせていく。6回もドネアが前に出ていき、堤に右アッパーを浴びせる。堤も必死にパンチを返していき、終盤にはドネアの顔面を捉えた。
7回はドネアが距離をとったが、堤が接近すると鋭いカウンターで応戦。堤は構わず前に出て連打で追い込む。終盤は激しい打ち合いとなった。8回も堤が前に出て重圧を掛けていく。連打の中で強烈な右を浴びせて、後退させた。
9回はドネアが距離をとりながら右を浴びせ、堤は必死に追っていく。10回は堤が左からドネアをロープ際に詰めて連打。ドネアも冷静に対処し、押し返していく。11回も堤が重圧をかけていくが、ドネアも体勢をかえながらの左などで抵抗。最終12回は中盤に堤が左フックを浴びせてドネアが下がる。両者死力を尽くした中で終了のゴングが鳴った。
インタビューでは「ギリギリでしたね。心配おかけしました。ドネア選手本当に強かったです。本当に負けの流れができあがっていた。僕、負けの流れを何度も経験してきたので、『頑張れ、俺』と言い聞かせた。あと皆さんの声援のおかげです。これがレジェンドのパンチかと思っていた」と喜びを噛みしめた。
その上で今後について「目標としては他の団体との統一戦を目標にしたい」と語った一方で「スーパーフライ級からレジェンドがバンタム級に上がってきている。統一戦が決まらないなら、ぜひ挑戦を受けたい。戦わせてもらいたい。本物のバッタモン、堤聖也です」と、日本男子初の5階級制覇を見据え、大みそかにバンタム転級初戦を行う井岡一翔との対戦も視野に入れた。
そして「僕は他のスター選手と比べると目立った選手ではありません。けど僕は積み重ねたもので世界で戦っています。積み重ねてきた自分を信じて、心に持つピストルを信じて、強いボクサーでありたい」と決意を語った。
◇堤 聖也(つつみ・せいや)1995年12月24日、熊本市出身。熊本・九州学院高で全国高校選抜に優勝し、平成国際大に進。アマ戦績は84勝(40RSC)17敗。2018年3月プロデビュー。22年6月に日本バンタム級王座獲得。24年10月に井上拓真(大橋)を破り、WBA世界バンタム級王座を奪取。25年2月の初防衛後に目の手術を受けて一時、休養王者となった。身長166センチのスイッチヒッター。





