那須川天心 キック無敗から55戦目初めて負けた ファンに土下座、誓った拓真への雪辱「リベンジしますよ」

 7回、那須川天心(左)を攻める井上拓真(撮影・石井剣太郎)
 井上拓真(後方左)に敗れ、土下座してファンに謝る那須川天心(撮影・石井剣太郎) 
 試合を終え抱き合う那須川天心(右)と井上拓真=トヨタアリーナ東京(撮影・石井剣太郎)
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 「ボクシング・WBC世界バンタム級王座決定戦」(24日、トヨタアリーナ東京)

 元キックボクシングの“神童”で、WBC世界バンタム級1位の那須川天心(27)=帝拳=は、元WBA世界同級王者の井上拓真(29)=大橋=に0-3で判定負けし、世界王座奪取に失敗。2023年のプロボクシング転向後、8戦目で初黒星を喫した。キック時代も含めるとプロ通算55戦目で初めての敗戦。試合後は井上拓へのリベンジを誓った。

 ついに不敗神話が崩れた。天心は元世界王者との頂上決戦に臨み、12回を戦い抜いたものの、判定で沈んだ。距離を取って悠然と構え、メリハリをつけたスピーディーな攻撃で応戦。1回には左フックをヒットさせ、2回には連打で拓真の顔面を捉えてぐらつかせるなど序盤優位に立ったが、3回以降は前に出てきた拓真に捕まる場面が増えた。接近戦でも相手を捉えられず、次第に大きくなる「拓真」コールにも押された。12回を終えると、負けを確信しコーナーで目に涙を浮かべた。

 試合後の会見では気丈に振る舞った。「結果にはつながらなかったが、悔いはない。全部出し切った。こういう試合ができてうれしかった」。キック時代からプロ通算55戦目で初黒星を喫したが、天を見つめて「ここから始まるなという感覚になった。なんか、すごく人生おもろいなと思いました。率直に」と、天心節をさく裂させた。

 満を持しての世界初挑戦は、自分が23年4月にデビュー戦を行った同じ大会で世界王者に輝いた拓真と、たった2年半で同じリングに立ち拳を交えた。敗れはしたものの、その軌跡自体が驚異的。リング上では新王者に深々とお辞儀したが、「リベンジしますよ。そこまでしっかり強くなって、挑戦するところまでいくのでと伝えました」と力を込めた。

 人生初の負けも覚悟していた。「悔しいが、前を向いていかないといけない。前に出てやっている以上、こういうこともいつかあると受け入れてやっているし、負けたことで世の中の人がいろいろ言うかもしれないが、自信を持って堂々と一生懸命やってますから悔いはない。よりボクシングを好きになれた一戦でもある。また明日も人生が続くし、これも人生ですから」。輝かしいキャリアに大きな黒星がついたが、リング上に生きざまを刻んだ天心が新たな伝説の始まりを予感させた。

 ◇那須川天心(なすかわ・てんしん)1998年8月18日、千葉県松戸市出身。キックボクシング42戦全勝、MMA4戦全勝。2018年大みそかにエキシビションでボクシング元世界5階級制覇王者フロイド・メイウェザー(米国)と対戦し、KO負け(非公式)。22年6月の武尊戦を最後にプロボクシングに転向。23年4月にボクシングデビューし、24年10月にWBOアジア・パシフィック・バンタム級王座獲得。身長165センチ。リーチ176センチ。左ボクサーファイター。

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