長谷川穂積氏が解説 天心選手の敗戦は引き出しの差が出た結果 拓真選手勝利のポイントは早い対応

 「ボクシング・WBC世界バンタム級王座決定戦」(24日、トヨタアリーナ東京)

 WBC世界バンタム級王座決定戦で、同級2位の井上拓真(29)=大橋=が、大一番を制して新王者になった。同級1位の那須川天心(27)=帝拳=に3-0で判定勝ちし、昨年10月に堤聖也(角海老宝石)に判定で敗れてWBA王座から陥落して以来、1年1カ月ぶりに世界タイトルを獲得。強打とスタミナで中盤以降、優位に進めて、世界王者に返り咲いた。デイリースポーツ評論家・長谷川穂積氏がこの戦いを分析した。

  ◇  ◇

 ひと言で言えば、引き出しの差が出た結果だと思います。立ち上がりは那須川天心選手がスピードの差を生かしてポイントを取りましたが、ラウンドが進むにつれて対応してきた井上拓真選手が試合を支配しました。

 拓真選手は序盤にリードされることは想定内だったと思います。中盤以降に対応してくるかと思っていたのですが、4回終了時点で同点だったように、早い段階で慣れたことが勝利へのポイントだったように感じます。

 なぜ早い対応できたのか。それは今回のスパーリングにもあると思います。拓真選手はパートナーに坂井優太選手(大橋)、堤麗斗選手(志成)らテクニシャンで抜群にスピードのある選手を準備。彼らとのスパーがスピードへの対応を早めたはずです。一方、那須川選手もメキシコの強豪を招へいしましたが、やはり拓真選手のようなテクニシャンとは少し異なります。

 拓真選手は価値ある勝利です。堤聖也選手への雪辱戦はもちろん、今後が楽しみになる王座返り咲きとなりました。両者とも覚悟があった中で、拓真選手は負けたら最後、崖っぷちの覚悟だったはず。覚悟の差も出たように感じます。

 敗れた那須川選手もまだこれからの選手。強くなる経験ができたと言えるでしょう。ただ、どうしてもあれだけの才能があるだけにセンスに頼りがちになる。これを経験にセンスとともに確かな技術を磨いていってほしいですね。

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