元世界王者の尾川堅一、天国の後輩に捧げるKOで涙「浦川を背負って世界一を」8月にリング禍で急逝、遺族もリングサイドで涙

 「ボクシング・10回戦」(1日、後楽園ホール)

 元IBFスーパーフェザー級王者でWBO同級2位の尾川堅一(37)=帝拳=が、元フィリピン王者のプレスコ・カルコシア(29)=フィリピン=に5回2分KO勝ちした。スピードで圧倒しながらプレスを掛け、鋭いボディーを効かせていき、最後はコーナーに詰めての左ボディーで粉砕。22年6月の王座陥落後5連勝で世界再挑戦をアピールし、「再起から5勝4KOと数字は残せた。(世界戦実現は)こればかりはタイミングで運しかない。あきらめずにコンディションをつくりきって、自分を信じてやっていく」と力を込めた。

 また、この日はジムの後輩で8月にリング禍で死去した浦川大将さん(享年28)の「あんたが大将」というTシャツのデザインを、遺族の許可をもらって自身のTシャツの背中に刻み、リングに上がった。遺族がリングサイドで見守る中で戦い、KO勝利を届けた後のインタビューでは号泣。「今後も浦川を背負って、自分ができる限りのことをして世界一って証拠を見せたい。ファンの方にも浦川を一生忘れないでもらいたい」と声を詰まらせながら呼びかけ、遺影を持った遺族も涙を浮かべていた。

 浦川さんは練習で一緒になることが多く、試合を見に来てくれていたという。「いつも慕ってくれていた。浦川の思いを背負っていきたい」。天国の後輩に勝利を届けたが、「(メッセージを)泣かないで言いたかったのに、泣いちゃった。試合前にも家に行かせてもらって、仏壇にも手を合わせて『しっかりやってくるよ』と報告したので、(心に)くるものもあった。浦川の家族も背負ってやっていこうと、いろんな想いがあったので、今日は(勝つ)姿を見せられて良かった。(浦川の)奥さんはまだ(ボクシングを)見れない部分があったが、娘さんが『尾川さんを見たい』と背中を押して(観戦に来て)くれたと言ってくれた。ふがいない姿を見せられないのと、安心させたい部分があって(勝てて)よかった」と、あふれる思いを明かした。

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