ボクシング死亡事故検証で中間報告 JBCの再発防止策が不十分と指摘「責務果たせず猛省」過度な水抜き減量禁止、救急救命士常駐など検討

 日本ボクシングコミッション(JBC)は1日、8月2日に後楽園ホールで行われたプロボクシング興行での試合中の事故で2選手が相次いで急性硬膜下血腫により死去した事案について、事故検証委員会から9月20日に中間報告を受けたこと報告した。安河内剛本部事務局長が都内で取材に応じ、明らかにした。

 死亡事故の因果関係は特定されなかったが、23年12月に発生した穴口一輝さんのリング禍による死亡事故を受けて当時の検証委から提言された再発防止策について、JBCは一部のルール変更などは実施したものの、抜本的なルール変更や医療体制の見直しが行われていなかったと指摘。JBCは「選手の死亡事故という重大な結果を踏まえた再発防止策の施行状況としては不十分であり、安全管理のための組織改革がいまだ進められていないとの評価を免れ得ない」と自省した。

 その上で、事故検証委はさらなる改善策として(1)健康管理委員会の再編、(2)後方支援病院の拡充、(3)トレーナーの教育を目的とした講習会の実施や資格審査の採用、(4)水抜きなどの過度な減量を禁止するルールの厳格化、(5)試合会場での搬送経路や手順の見直し、(6)将来の健康管理を見据えたデータ収集といった項目を提言した。

 この中間報告を受け、JBCは「過去の穴口選手の事故における提言に関するJBCとしての対応の問題点を踏まえ、管理者としての責務を十分果たしてこられなかったことを猛省し、事故再発防止策の策定、実施を行っていく」と報告。今後、試合会場には救急救命士を常駐させるほか、水抜きなどの過度な減量を防ぐために、当日計量の数値により階級変更を義務づけるといった施策を打ち出した。さらに、プロテスト受験時のCT検査をMRI検査に変更し、A級選手には2年に1回程度のMRI検査を義務づけ、データを収集するという計画を明かした。

 各項目は、各ジムの会長から構成する日本プロボクシング協会(JPBA)の理事会での協議を経て、正式に導入が決まる。また、事故検証委は今後、死亡した各選手の所属ジムや遺族らへの聞き取り調査を行った上で、最終報告を行う予定だという。

 JBCは「従前の施策が不十分であったとの指摘を重く受け止め、事故検証委から新たに提示された再発防止策も踏まえて制度設計及びルール改正を推進し、このような事故が二度と繰り返されないよう、再発防止に努めていく所存です」との見解を示した。

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