拓真が初戴冠!井上兄弟同時王者「ナオに並べるよう精進」尚弥「素直にうれしい」

 「ボクシング・WBC世界バンタム級暫定王座決定戦」(30日、大田区総合体育館)

 モンスターの弟が、念願の世界ベルトを手にした。井上拓真(23)=大橋=が、タサーナ・サラパット(タイ)に3-0で判定勝ちし、暫定王座を獲得。WBA世界バンタム級王者の兄、尚弥(25)=大橋=に続き、兄弟世界王者は亀田3兄弟に次ぐ日本2組目。来年1月19日に予定されている正規王座決定戦が挙行されれば、拓真は王座統一戦を闘う。

 喜び半分の戴冠だった。兄の尚弥と世界王者として並び立った拓真。リング上で「最高です」と叫んだが、父の真吾トレーナーともども喜びは控えめだった。

 3者とも6点の大差での判定勝利だったが、数字以上に厳しい戦い。初回に右ストレートをクリーンヒットさせ、強引に攻勢に出たが仕留めきれず。2戦連続1回KOで世界に衝撃を与えた兄を意識したといい、「インパクトのある試合をしようと気持ちが出すぎた」と反省した。

 2回には強烈な偶然のバッティングで眉間から出血。そこからは、相手と距離を取る戦いに転じ、相手の前進に下がる場面が目立ったが、パンチの正確性で上回った。苦しい戦いの中にも「中盤以降にポイントを取る方に修正できて、いい経験になった」と収穫を口にした。

 兄の世界初戴冠から遅れること4年。拓真が「お父さんの、家族の夢」という兄弟世界王者が実現した。真吾トレーナーはリング上で喜びを表さなかった理由を「まだ暫定(王座)。今日は両手で喜ぶ内容ではなかったけど、正規(王座)の時に万歳できたらいい」と説明。だが、最後には「泣きそうになりましたよ、実は」と照れ笑いを浮かべた。

 兄を追うように幼稚園時にボクシングを始めた拓真。常に先を行く兄にも「結果がすべて」と嫉妬はなかったという。2年前の年末には世界挑戦のチャンスを得たが、右拳の負傷で無念の中止。その間、尚弥がさらに勢いを増す一方、世界ランカーのマーク・ジョン・ヤップ(六島)ら強豪との対戦をクリアし、経験と力を蓄えた。

 「バンタム級では細かった」という体も強化。着る服もサイズがMからLになった。遠回りしたが、真吾トレーナーは「歯がゆさもあったけど、しょうがない。ケガがあってよかった。あれだけの経験できたのは大きい」と受け止めている。

 兄と同じ称号を手にした弟。それでも、「ナオ(尚弥)に並んだとは言えない。ナオに並べるよう精進してやっていきたい」と決意を新たにした。

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