伊藤雅雪 米国で新王者に…37年ぶり日本選手快挙 無敗ディアスに大差で判定勝ち

 WBOスーパーフェザー級王座決定戦でクリストファー・ディアスに判定勝ちし、喜ぶ伊藤雅雪(共同)
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 「ボクシング・WBO世界スーパーフェザー級王座決定戦」(28日、キシミー)

 世界初挑戦の伊藤雅雪(27)=伴流=がクリストファー・ディアス(プエルトリコ)に3-0で判定勝ちし、新王座に就いた。日本選手が本場米国で世界王座に就くのは1981年の三原正以来37年ぶりの快挙だ。昨年12月にネバダ州ラスベガスで行われたIBF世界スーパーフェザー級王座決定戦で尾川堅一(30)=帝拳=が勝ったが、薬物違反で無効試合となった。

 相手ファンで埋め尽くされた会場を、日本から来た異色のボクサーが黙らせた。37年ぶりとなる米国での王座奪取-。日本ボクシング史を塗り替えた伊藤は「信じられないことが起きた。人生が変わったと思う」と、端正な顔を歓喜の涙でゆがませた。

 文句なしの勝利だった。「不安もあって試合前に1人で泣いていた」というが、敵地のような会場に入ると「わくわくする気持ち」に変わった。序盤から果敢に前に出て、ここまで無敗だったディアスを圧倒。4回には連打からの右でダウンを奪う。「感触があった。一生忘れられないストレートになる」。最後まで攻撃の手を緩めず、5~9ポイントという大差の判定勝ちをものにした。

 伊藤は東京・駒大高にバスケットボールのスポーツ推薦で入学。アマボクシングどころか格闘技経験もなかったが、駒大進学直前に「何となく」自宅近くの伴流ジムに入門。「最初はスパーリングとかが楽しくて、ライセンスを取ったら試合が組まれた。大学生の間だけと思っていたので、世界にたどり着けるとは思っていなかった」と振り返る。

 駒大在学中に同級生の衣理香夫人と結婚し、現在は2児の父。ただここ数年は家族と離れ、ロサンゼルスを拠点に練習。本場で試合を観戦し、この日に備えてきた。試合後のテレビ局のインタビュー中には、子どもを抱いた夫人と歓喜の抱擁を交わした。

 「まだまだ僕は強くなれる。自分への期待感が強い。一生僕の名前が残るような相手と(試合を)したい」

 異色の新王者のサクセスロードは、まだ始まったばかりだ。

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