ボクシング不正判定疑惑に審判員証言 山根会長に逆らえれば「使われなくなる」

 日本ボクシング連盟会長の山根明氏(2016年7月5日)
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 日本ボクシング連盟に対し、都道府県連盟の幹部と元五輪代表ら関係者333人の有志による「日本ボクシングを再興する会」がスポーツ庁や日本オリンピック委員会(JOC)、日本スポーツ協会などに郵送した告発状に、公式戦での不正判定を強要されたという複数の審判員の証言書が含まれていることが30日、わかった。日本連盟の山根明会長の強制力が働いていたことが証言されている。助成金の不正流用疑惑に続き、選手の勝敗にも同会長が影響力を持っていた可能性が浮上した。

 デイリースポーツが入手した3人の証言で、山根会長が審判員に対して勝敗に関わる発言をし、それを審判員は「聞かなければならない」と受け取っていたことが明らかになった。象徴的なのは奈良県の選手に対する判定。山根会長は元奈良県連盟の会長で、証言によると奈良県の選手が試合をする場合には、山根会長がすでに決まっている審判の入れ替えをすることが多かったという。

 証言では「入れ替えられた審判は、己に課された役割が『奈良県を勝たせる判定を下すこと』と理解しており、不本意ながらそうせざるを得ない状況に追い込まれております」とある。もし、劣勢の奈良が判定負けとなれば、直後に「審判員を大声でしかりつけて」当該審判以外にも大きな影響を及ぼし「A級審判員のほとんどが奈良の試合に入ると正しいレフリングやジャッジをすることが困難」としている。

 また、ある全国大会の決勝前の審判ミーティングで山根会長は片方の選手のボクシングスタイルを「評価してはならない」とし「世代交代だ」と明言。審判員はもう一人の選手を「勝たせなければならないと認識させられた」と証言した。

 審判員が強制に逆らえなかった理由について、告発人の一人は「試合で使われなくなったり、審判の昇級試験を受けられなくなったりする」とパワーハラスメントの状態にあったと説明する。あるA級審判員は過去4大会などで山根会長からすべて自己負担での参加を指示されたとし、「全部連盟が出してくれた人もいるので規定はあやふや」と証言。過去に奈良の選手を負けにしたことがあり、観客の前で叱責(しっせき)されたことも明かしている。

 JOCはこの日、告発状が届いたことを認め「内容を確認してから対応を検討する」としている。

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