最終回です、どうもありがと! これからも新しく始められることはいくらでもありますよ!
2017年5月から続いたこのコラムですが、今回が最終回。私が経済学の聴講生として通っていた大阪学院大学から15年に「名誉博士号」をいただいたことがきっかけで、身近な経済の話題をと言われて始まりました。その中で反響が大きかったものをいくつか振り返っていきたいと思います。
ここでも何度か書いて大きな反響もいただきましたが、個人的にも22年に不妊治療に保険が適用されたということは非常に感慨深い。私も50歳まで不妊治療をしていましたが、実際経済的な負担が重くのしかかっていましたから。
今でこそ「妊活」という言葉がありますが、そういうことのために仕事を休むのはわがままだと言われた時代。私も「それはおまえのわがままだ」と、はっきり言われたこともあります。保険が適用されることによって日陰でコソコソではなく、大手を振って「不妊治療しています。頑張ってます!」と言えるようになった今の状況は、本当にうれしいこと。
それから「出す方もらう方ともに忖度…日本人気質を映す御祝儀」(18年7月15日)。出産祝いの金額について考える日本人の御祝儀気質やお祝いを送る際の心遣い、一人目の出産祝いと二人目の出産祝いの違いなどについて書きながら、こちらもいろいろと考えるところが多かったです。
意外に反響があったのが「『ちょっと教えて』は、相手の時間を奪うこと」(21年11月21日)。気づかないうちに相手をイライラさせてしまったり、相手との距離感がだんだん難しくなってきています。例えば電話一つにしても、私はさすがにその世代ではないのですが、大家さんの家の電話にかけて住人を呼んでもらう呼び出し電話から始まり、各家庭に1台ずつの固定電話になり、1人1台といわれる携帯電話に。
そんな通信手段がメールになり、いつ見てもいいはずなのにすぐ返さなければいけないLINEになって、既読スルーはダメだと言われ(笑)。最近ではLINEなどで「いま電話していいですか?」「電話に出られる時間帯はありますか?」と聞かなくては電話ができない。その変化がここ50年ほどのことなんですから驚きです。
ツールとともに、人とのコミュニケーションの取り方も大きく変わりました。昭和生まれの私は、そこに何だかな~と年を重ねたことを痛感するのですが、年を重ねるのはイヤなことばかりではありません。
少し前に新地のママと話していて、その方は50歳手前ぐらいだと思うのですが「いま私がこの感覚と感性と知識のままで20代前半に戻ったら、新地で天下を取れる自信がある」とおっしゃったんです。それは知識、経験、知恵が若さに勝るところもあるということでしょう。
そういう思いで「マルハラにメール1往復 若い人は若い人、引け目を感じたり憧れたりするのはやめましょう!」(24年3月10日)を書きました。これもまた大きな反響をいただいて、やはり同じ思いの同年代の方がいらっしゃるんだなという連帯感みたいなものを感じました。
実は私、50代の後半にピアスの穴を開けたんです。私としては一歩踏み出したつもりだったのですが、「その年になって、どうして今さら?」という周りの反応が結構あったのを覚えています。そういうものなのかと思った矢先に「てっぺんの向こうにあなたがいる」という吉永小百合さん主演の映画を見ましたが、吉永さんは役作りのために80歳で初めてピアスをつけられたそうですよ。
つまり固定観念を捨てたら、いくらでも新しく始められることがあるということですね。「この年だからもういいわ」ではなく、またこれから常に何かを始める準備をするという気持ちが大事なんだと思うし、私もそれを実行していこうと思います。
最後に、8年間かわいがってくださった読者の皆さま、スタッフの皆さま、お付き合いくださって、ほんまにどうもありがと!





