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出生前診断、不妊治療 美談だけではない報道もすべき

 ハイヒール・リンゴ
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 子に障害があることがわかっていても出産した夫婦、苦しく長い不妊治療の末に我が子を抱けた夫婦…ハイヒール・リンゴはそんな「幸せな話」という結論ありきになってしまっている報道が多いことに異論を唱える。実際には、出生前診断の結果で中絶を選んだり、不妊治療が実らなかった夫婦も多い。「出生前診断受ける受けない、産む産まないは夫婦で決めること」としたうえで、「おわりの悪い話」も取り上げ、心のケアをすべきではないかと訴えた。

   ◇  ◇

 母親の血液内のDNAを採取し、胎児の染色体異常を調べる新型出生前診断。これまで大学など限られた病院でしか行えませんでしたが、最近指針が変わり、研修を受けた医師のいる病院でもできるようになりました。

 「障害のある子でも産む」と決め、疑いがあっても詳細な検査を受けなかったご夫婦がおられる。一方で、障害があっても産むつもりにもかかわらず、最後まで検査をし、ダウン症と確定した赤ちゃんを産んだご夫婦もおられる。なぜ検査をしたかと聞くと「ダウン症の子供をどう育てればいいのか、勉強のために確定が欲しかった」とおっしゃった。

 けれどそんなご夫婦は実際には少なく、異常が判明し、特にダウン症児の場合などは、9割が中絶を選ぶといいます。「産まない」と決めた人は、そのことを責めないまでも眉をひそめたりするのは違うんじゃないでしょうか。診断を受ける受けない、さらには産むか産まないはそれぞれの夫婦間で決めればいいこと。

 でもマスコミの扱い方をみると「ダウン症の子を産んでよかった」という方向に偏っている気がします。“これが日本のあるべき姿なんだ”と押し出してくる。私も不妊治療を長く続けて、結局子供はできなかった。実際、不妊治療をしても子供を授からない人も多いんです。だけどマスコミは、取り上げず、長い不妊治療の末に子供が生まれた話を扱いがち。「幸せな話」という結論ありきになってしまっている。「苦労の上の幸せ」という「おわり」の良い話にまとめてしまいがちなんです。実際私も「妊娠されたらまた、取材や連載をお願いしますね」と頼まれていましたが、「子供ができなくなり」が確定すると誰も何も言ってこない…(苦笑)。そういう人たちにこそ心のケアが必要だと思うんですけどね。

 中絶される人も、経済的なこと、自分たちが先に亡くなり残された子をどうするかといった“親の責任”等を考え抜いて結論を出しているはずです。産むのを諦めたことで一生悩むかもしれない次の子供を産むのが怖くなる、というのはよく聞く話です。そういう心の闇の部分をもっとマスコミに取り上げてほしいですね。100人いたら100通りの選択がある。美談ばかりに偏らず「おわりの悪い」話ももっと取材して欲しいです。

 揺れる心にカウンセリングは大切です。これまではカウンセラーのいる、大きな病院でしか認められていなかった新型出生前診断。家族のケアをどうするのかがとても大事だと思います。

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