タイの洞窟救出劇、ハリウッドの映画化の動きに違和感

 世界中の注目の集まった中、無事救出されたタイの洞窟救出劇。だがその美談の裏ではハリウッドでの映画化の話も進んでいる。ハイヒール・リンゴは救出に向かった人が1人亡くなっているにもかかわらずの映画化に「一連の動きに違和感を持つのは私だけでしょうか」と語った。

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 タイの洞窟に取り残された地元サッカーチームの少年ら13人の救出劇が、ハリウッドで「スタンド・バイ・ミー」の様な少年の物語として映画化の話が進んでいるそうです。

 チリの鉱山落盤事故も映画になりましたが、世界中が結末を知っている話だからベストセラー本の原作と同じでアレンジもしやすい。現場を取材した人に聞いたら、まだ全員が救出される前から映画化の話が出ていて、各社が権利を争ったり、家族との契約を進めていたりしていたらしい。

 救出の途中で映画化の話が出たというのは、全員が助かっても、また亡くなった人がいても、どちらに転んでも作るつもりだったということ。実際に、救出に向かったダイバーも1人お亡くなりになっている。救出されたのは本当に良かったと思うのですが、この一連の動きに違和感を持つのは私だけでしょうか。

 生死にまつわる話をバラエティー番組で扱うときは、私もすごく慎重になります。それなのに、そんなにすぐに金儲けに使う?立川志らくさんも「1人亡くなっているのに映画、映画って、すぐに飛びついて。助かったらすぐ金儲けか」と。私も同感です。

 救出後、少年たちが自分たちを助けるために亡くなったダイバーの写真に、感謝の言葉を書き込み、そのうちの数人が「海軍特殊部隊員になりたい」と口にしたという。だけどそれさえも映画のエピソードの一つになるのかと思うと、やりきれないものがあります。さらにコーチと3人の少年は山岳民族で国籍がなかったり、救出そのもの以外でもドラマチックな要素が多かったことも拍車をかけたのでしょうか。

 最近のハリウッドは、こうした実話やリメイク、日本のアニメの原作を求める傾向が強くなっていると感じます。決してアニメやリメイクが悪いとか、劣っているという話ではありません。ただ安易な方に走るんじゃなく、やっぱり世界のハリウッドなんだから、一から作り上げて欲しいと思うんです。タイの話も「第2のスタンド・バイ・ミー」と謳っているらしいですけど、“第2の”といっている時点で、「スタンド・バイ・ミー」を超えられないと私は確信します。せっかくいい話なのに、「映画化」を聞いてから、素直に見ることのできない自分が悲しかったですね。

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