出す方 もらう方ともに忖度…日本人気質を映す御祝儀

 金額に頭を悩ませることも多い御祝儀。金額は“気持ち”であり、間違っているわけではないだけに、贈る側として悩ましい。知人から相談を受けたというハイヒール・リンゴもその難しさを指摘し、「御祝儀って日本人の忖度気質をそのまま反映している。御祝儀に正解なし」と語った。

  ◇  ◇

 先日、友人にお祝い金の金額について相談されました。

 友人の姪に子供が生まれたので、同じ大叔母の立場である妹さんとお祝い金を一緒に渡そうとしたけど、その友人の妹と意見が合わない。妹さんは5万円、友人は3万円でそれぞれの主張が違ったんです。妹さん曰く、出産祝いは子供ではなく親にあげるもの。だから長子は何もそろっていないから多めにあげて、2番目、3番目は少なくするという意見。一方の友人は、長子も2番目も3番目も等しく3万円。普段仲良くしていても、逆に付き合いがなくても甥姪に子供が生まれたら一律3万円。7、8人いる甥姪の中で一番下はまだ小学生なので、その子たち子供ができたときに、将来の自分の経済力など、いまと同じだけの金額を出せるかまで考えて3万円と設定した、と。

 私はこの話を聞くまで、友人と同じ考え方でしたが、妹さんの考えも「なるほどなぁ~」と思いました。実際、2番目以降は赤ちゃんグッズの出費も少ないからというので、お祝い金額を下げるという「妹派」も結構いるらしい。もちろんお祝いは気持ちといえば気持ちなんだけど、この場合の正解ってなんだろうと考えました。

 千原ジュニアのご祝儀は、会って言われたときに手持ちのお金を全部あげると聞きました。財布に3万入っていたら3万円、30万円入っていたら30万というシステム。それってご祝儀自体がネタとして成立しているし、人に言える金額であり、芸人らしい渡し方ですよね。「2回しか会ったことない後輩やのに30万あげた」とか「お世話になっている先輩やけど2万しかもってなかったから」とか。すごいなと思うけど、自分はできないなぁ。お金持っているときに「人と会いたくないな」とかなってしまいそうで(笑)。

 あと私は、子供さんの進学祝いは高校に入ってからお祝いするようにしています。なぜなら「中学」までは「義務教育」だから。たとえそれが「私立」だとしてもです。だから、相方のモモコの子どもが中学受験で、合格しましたが同じ様にしました。で、後日高校に進んだ時にお祝いをしたんです。するとモモコからは「えー」と驚かれました。聞けば「みんな中学のときにお祝いをくれたよ」との事。これもひとそれぞれ考えがあるんですね。

 でも御祝って、渡される側でも「貰(もら)い得」と思われるのが嫌な人もおられます。私には子供はいませんが、友達に子供が生まれると当然お祝いをしていたんです。すると私が引っ越ししたときに、ある友人がものすごい額の引っ越し祝いをしてくれました。驚いていたら「私、貰う一方だったから」って。後輩なんかも、1人目のときはうれしくてつい言ってしまうけど、2人目、3人目は「お祝いを要求していると思われたくない」と、言ってこない人もいる。御祝儀って日本人の忖度気質をそのまま反映しているんですね。御祝儀に正解なし、です。

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