被災地へ送るのは「相手が欲しいもの」を

 西日本豪雨の被災地に、日本全国から多くの品物が送られた。だがその直後「被災地いらなかった物リスト」というハッシュタグが立った。その品は(1)千羽鶴(2)寄せ書き(3)生鮮食品(4)お米など調理が必要な物(5)賞味期限が近い、分からないもの(6)辛いラーメン(7)明らかな古着(8)季節外れの新品の服(9)周波数の違う家電、など。ハイヒール・リンゴは自身の不妊治療時に贈られた「お守り」を例に上げ、善意の押し付けを危惧。被災地には「相手の欲しいもの」と、ふるさと納税での寄付など本当に役立つものをと訴えた。

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 西日本の豪雨で、多くの方が被災されたのを受けSNSなどで「被災地いらなかった物リスト」というハッシュタグが話題になりました。特に被災直後に送る千羽鶴や寄せ書きは、私もいらないと思うんです。

 もちろんときが経てば心の糧になる場合もあると思います。でも今はいらないでしょと。被災した直後はもっと必要なものがある。送る側の「頑張ってほしい」という気持ちも理解できますが、相手側の気持ちに立つと、それは善意の押しつけ、究極の自己満足になってしまう。千羽鶴は日本のとても良い習慣だと思うし、人の気持ちを考えるのももちろんいいこと。でも病気平癒など個人に贈る千羽鶴と、被災地への千羽鶴は根本的に違うと思います。

 もちろん千羽鶴や寄せ書き以外にも、辛いラーメンや賞味期限のわからない食品、季節外れの服とか、確かにもらっても困るものがある。人に何かをさしあげる場合「自分があげたいもの」じゃなく「相手が欲しいもの」を考えなきゃいけないなってしみじみ思いました。

 私も不妊治療していたときに、正直一番困ったのが、実はお守りの扱いなんです。本当にありがたい事に多くの方からお守りをいただきましたが、それだけたくさん集まると、「神様同士がケンカしないかな?」と心配にもなり、結局、神社やお寺に返納しました。

 そのとき学んだのが、「頑張ってね!」というありがたい気持ちがこもった品をいただいても、困ることもあるんだということです。ものすごく悩んだ経験から、私は人に学業のお守りなどを渡さないことにしました。お守りもそうですが、千羽鶴や寄せ書きも捨てづらい。捨てづらいものを差し上げるときはよく考えないといけないですね。

 まじめな話、被災地に何かを送るとしたら、世知辛いようですがお金かなと。直接の寄付もありますが、返礼品はなく全額寄付する形のふるさと納税などもあります。通常、ふるさと納税では、自治体が領収書や証明書を発行してくれる。でも被災自治体は、被災者への対応に追われ、そうした事務作業ができない。そこで被災した自治体に代わって、ふるさと納税を受付、事務の代行をしてくれる代理自治体という制度があるんです。

 例えば被災した岡山県倉敷市に納税したければ、代理自治体の茨城県守谷市が受付も事務処理もしてくれ、お金は倉敷に届く。実際、代理自治体には、多くの金額が集まっているそうです。私も今年のふるさと納税は、被災地への寄付にしようと思っています。

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