【にしたん社長の人生相談 お悩みクリニック】“金持ち喧嘩せず”は本当か
にしたんクリニックなどを展開するエクスコムグローバル株式会社の西村誠司社長があなたの悩みに答えます。
【相談】 姪っ子が結婚しました。お相手は東京都内にそれなりの広さのお家を代々所有しています。お相手の方は姪っ子に「金持ち喧嘩せずでやっていきたい」と言ったそうです。あまりケンカしないようにしようという意味だと思うのですが、お金持ちも普通にケンカしますよね?西村さんは幼少期は大変なご家庭で育ち、独力で財を築かれたと聞いています。財をなすことでのケンカ的な違いというか、変化はあるものでしょうか。
【回答】 ご相談ありがとうございます。とても面白いテーマですね。「金持ち喧嘩せず」という言葉は、古くから使われていますが、実際のところ“お金があるから喧嘩しない”というよりも、“喧嘩で得られるものと失うもののバランスを冷静に判断できる”という意味に近いと思います。
私自身、生活保護の家庭で育ち13歳から働き、25歳で起業して現在に至ります。お金がない時代は、とにかく感情で動くことが多かったです。たとえば、理不尽なことを言われると反発したり納得できないことがあると食ってかかったり。でも、財を築く過程で痛感したのは、「感情的に動くほど損をする」という現実です。経営者として、あるいは富を持つ立場として冷静でいられるかどうかは自分を律する力に直結します。
つまり、「金持ち喧嘩せず」というのは、単に穏やかという意味ではなく「自分の感情をコントロールできる人間になった」という状態を表しているのだと思います。お金を得るということは、それだけ多くの責任やリスクを背負うということでもあります。だからこそ、無駄な争いを避け長期的に得をする判断を選ぶようになる。私も若い頃に比べて、意見の衝突が起きたとしても、すぐに反応せず一歩引いて状況を見るようになりました。
ただし、誤解してはいけないのは、お金がある人でも「喧嘩をしないわけではない」ということです。意見をぶつけることや信念を貫くための衝突は、むしろ健全です。違うのは、その喧嘩の“質”です。感情で争うのではなく目的を見据えて建設的に話し合う。感情よりも結果を優先できるようになることが、成長の証なのかもしれません。
おそらく姪御さんのお相手が言った「金持ち喧嘩せず」という言葉には、「お金があるから穏やかでいたい」というよりも、「小さなことで争うより、豊かに生きたい」という意図があるのでしょう。それは、ある意味で成熟した考え方だと思います。
お金が人を変えるのではなく、「お金を通して人がどう変わるか」が本質です。私も富を得てわかったのは、“本当に豊かな人ほど争わない”。それは余裕があるからではなく争うことの無意味さを知っているからです。
そう考えると、姪御さんのご結婚相手の言葉には、なかなか奥深い意味が込められていると思います。
◇西村誠司(にしむら・せいじ) 1970年生まれ、愛知県出身。「イモトのWiFi」「にしたんクリニック」などを展開するエクスコムグローバル株式会社代表取締役社長。名古屋市立大学を卒業後、外資系コンサルティング会社に入社。2年で退職して25歳で起業、現在年商333億円に成長。TikTokフォロワー数7万6000人。





