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【尾原徹司医師】野村克也夫妻を襲った「虚血性心不全」って? 心掛けたい8つの予防法

 突然の訃報に驚き、野球ファンとしては惜しい人を失った悲しみにくれている人は多いと思います。

 2月 11日、捕手として三冠王に輝き、その後南海、ヤクルト、阪神、楽天で監督を務めた野村克也さんが「虚血性心不全(きょけつせいしんふぜん)」でお亡くなりになられました。奇しくも2017年12月8日には、奥様である野村沙知代さんも同じ病気でこの世を去られています。

 また、昨年11月13日には俳優の滝口幸広さんも30代の若さで死去。少し前には、お笑いタレントの前田健さんも虚血性心不全で亡くなられています。決して、人ごとではない病気なのです。

 「虚血」とは血液が行き渡っていない、血が通わない状態を指し「心不全」 は心臓のポンプの働きが充分に行われず弱くなり、全身にきれいな血液をうまく送れない状態をいいます。言い換えれば、虚血性心不全とは心臓に血液が行かず、心臓が動かなくなることなのです。そうなると、全身に血が通わず、体の細胞が死んでしまうことになります。

 なぜ、虚血性心不全が起きるのでしょうか。

 全身に血液を送り出すポンプの役割を果たしている心臓は「心筋」という特別な筋肉でできています。その心筋に栄養を送る血管である冠状動脈が動脈硬化などで狭くなったり、閉塞したりすることで心筋の収縮力がかなり弱まり、虚血性心不全を引き起こすと考えられています。

 また、冬場に発症しやすいのは、寒さで血管が収縮してしまい、血圧が高くなるからです。さらに寒暖差などによる血圧の急激な変化も引き起こす要因です。朝方に発症することが多いのもそのせいです。寒い冬は年齢に関係なく、注意が必要なのです。

 代表的な症状は、激しい胸の痛みです。胸に圧迫感を感じたり、締めつけるような痛みがあったり。「我慢できないほどの胸の痛み」という人もいます。痛みは胸だけでなく、肩や背中、腕、顎など広範囲に広がることもあります。呼吸困難や嘔吐、腹痛、発熱、汗を伴う人もいます。

 実は「突然死」の多くを占めるのが、この虚血性心不全だともいわれています。異常が起きて、倒れてそのまま亡くなることも稀ではないのです。症状が起こったら、あるいは虚血性心不全かと疑ったら、すぐに、救急車を呼んでください。

【予防を心がけよう】

 虚血性心不全をはじめ、一般的に知られている狭心症や心筋梗塞を含む虚血性心疾患の危険因子は、高血圧、糖尿病、高脂血症、喫煙、糖尿病、肥満、運動不足、ストレスなどと言われています。そのため、予防は心がけたいもの。

(1)健康診断は受けましょう。

(2)血圧測定を定期的に。

(3)塩分は控えめに。

(4)禁煙しましょう。

(5)ストレスをためないように。

(6)適度な運動をしましょ う。

(7)睡眠は十分に。

(8)食事はバランスが重要。

 予防だけでなく、虚血性心不全につながりそうな病気があれば、その治療も重要です。気になれば、医師にご相談ください。

 野村さんのご冥福をお祈りいたします。

◆尾原 徹司 東京医科大学卒業。東京女子医科大学消化器病センターを経て、神戸鐘紡病院消化器科に赴任。昭和57(1982)年に独立し、医療法人社団つかさ会「尾原病院」(神戸市須磨区妙法寺荒打/神戸市営地下鉄西神山手線妙法寺駅徒歩3分)院長に。

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