【野球】「勝ちパターンで投げていいんですか…」勝利の方程式担った近藤一樹さん プロ17年目で新境地 最優秀中継ぎ投手のタイトルも獲得
日大三高の甲子園V投手で、現在は立正大立正高(東京)など複数の学校で野球指導を行う近藤一樹さん(42)は、近鉄、オリックス、ヤクルトの3球団で19年にわたりプレーした。プロ17年目の2018年にはセットアッパーとしてヤクルトの勝利の方程式を担い12球団最多の74試合に登板。最優秀中継ぎ投手のタイトルを初めて獲得した。4年連続の右肘手術、育成契約、トレード…波乱を乗り越えて35歳でキャリアハイの成績を残した。
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2016年のシーズン途中にヤクルトに移籍してから3年目。18年11月27日に東京都内で華々しく開催されたNPBアワーズの舞台に近藤さんの姿はあった。
スポットライトを浴びながら最優秀中継ぎ投手として表彰された35歳のベテランは「まさか、こういう場に上がれるとは。僕が立っていいのかなと。申し訳ないです」と謙虚にインタビューに応じた。
移籍2年目の4月下旬。ロングリリーフが不在となり、近藤さんは2日連続で中継ぎ起用されイニングまたぎの2回をいずれも無失点。「2日で4イニング投げたのが“中継ぎ投手・近藤”の始まりなんです」。その年は50試合に登板。先発要員として移籍したヤクルトで新境地を開いた。
18年にはさらにタフネスぶりに磨きがかかる。セットアッパーとして8回を投げ、抑えの石山泰稚投手へとつなぐ勝利の方程式が確立された。
「僕が勝ちパターンで投げてもいいんですかって感じでしたけど、たまたまハマったというか。責任を持たせてもらえてモチベーションにはなりましたね」
74試合はその年の12球団最多登板。35ホールドと7勝を含む42ホールドポイント、防御率3・64。タイトル獲得にふさわしい、プロ人生で最高の成績だった。
オリックス時代は故障に明け暮れ、4年連続して右肘を手術し、育成契約にもなった。次の1勝をつかむまでに、1280日ぶり、1411日ぶりという気が遠くなるようなブランクを2度も経験している。そこから、どうしてここまで復活することができたのか。
「オリックスの時は僕がボロボロなのをみんな知ってますから、大丈夫か、休んどくかという、過保護な感じになってたと思うんです。でもヤクルトでは大丈夫だろ?みたいな感じで雑になれたというか。新しい自分が見つかりましたね。ヤクルトでは一度も先発はなかったんです」
背水の陣で開き直って試合に臨むことで、新たな自分を発見することもできた。長年にわたる故障との苦闘の歴史も血肉となって近藤さんを支えた。
「オリックス時代に“このままだと、もう終わりだから”と言われて、移籍して5年(在籍)ですから。本当にありがたいですよね。オリックスでなかなか勝てなかった時も球団さんが時間をくれたことにすごく感謝してます」
2020年のオフ、近藤さんはヤクルトから戦力外通告を受けて退団した。だが「投げたい」気持ちは収まらず、さらに独立リーグ香川に所属してコーチ兼任でプレーを続け、39歳で引退した。球速は全盛期と変わらない140キロ台後半を最後まで維持したという。
終わり方には満足してない。「(プロ入りした)19歳のころに今やらないと後悔するぞと言われていた意味が最後の方に分かってくるんです。でも、後悔するのをやめようと思うんです」
そして続けた。
「1軍で100試合ぐらい先発して、(中継ぎも含め)300試合ぐらい投げて、2軍でも200試合ぐらい投げた。トータルで500試合登板したとプラスに考えています。最後はそこで納得するというか」
1軍登板は347試合、2軍でも172試合で投げた。度重なる故障に見舞われながらも19年続いた山あり谷ありのプロ野球人生。そのすべてを受け入れようとしている。
「今まで経験したことを若い世代に還元できればいいなと思います。ケガをしたこと、活躍できたこと。周りの選手たちがどうしていたということも含めてアドバイスしていくことができたら」
立正高野球部以外にも複数の学校で指導を行う近藤さんは、これからも全国を駆け回る。
(デイリースポーツ・若林みどり)
近藤一樹(こんどう・かずき)1983年7月8日生まれ。神奈川県出身。日大三高3年時の夏の甲子園で優勝。2001年度のドラフト7位で近鉄入団。分配ドラフトで05年からオリックスでプレーし、育成契約を経て、16年途中にトレードでヤクルト移籍。18年に最優秀中継ぎ投手のタイトル獲得。20年オフの退団後、四国IL香川でコーチ兼投手として2年間プレーして引退。NPB19年間で347試合に登板、43勝57敗4セーブ、83HP、防御率4・50。現在は野球解説者、立正大立正高野球部など複数校で指導者としても活動中。
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