【野球】楽天・加治屋の恩返し道半ば 史上6人目3球団で50試合登板も「連続で活躍した時がない」

 楽天の加治屋蓮投手(34)が、新天地で戦い抜いた充実の1年を振り返った。史上6人目となる3球団での50試合登板をするなどフル回転。2度の戦力外通告を受けながらも、不死鳥の如くよみがえる男の「今」に迫った。

  ◇  ◇

 崖っぷちから始まった今季を、加治屋は「がむしゃらに走り続けた1年だったかな」と笑った。11月で34歳になり、同学年の選手らの引退報道も増えた。ソフトバンク、阪神と2球団から戦力外通告を受けながら、新天地で迎えた今季は54試合に登板するなど復活。その舞台裏を探った。

 キャンプから何度も聞いた言葉がある。「ここに来た。少しでも貢献したい」。不安だった中で拾ってもらった恩がある。シーズン中はどれだけ負けが続いても「まだまだここから」と言い続け、伸びた髪を触りながら「優勝して髪を切ります」と語った日もある。

 阪神を戦力外になった時には岩崎、岩貞ら同学年の仲間から「まだまだできる」と背中を押された。原動力になった。春季キャンプ後には2軍に降格となったが、則本らと食事に出かけ、ブルペンに対しての意見を交換。「カジが帰ってくるまでやっておく」の返事に、「絶対に戻ろうと思った」と覚悟も生まれた。

 今季初登板となった4月10日の日本ハム戦。0-10と劣勢の九回にマウンドに上がり、1回無安打無失点1奪三振と結果を残した。「自分がどうなるかを左右する大事な登板だった。すごく意味がありました」と記憶に残る11球。それから一度の2軍降格はあったが、54試合に登板し2勝1敗、18ホールド、1セーブ、防御率3・50と1年間を懸命に駆け抜けた。

 ソフトバンク在籍時の2018年に72登板、阪神時代の23年には51登板を果たし、3球団で50試合登板も達成。サファテ、江夏豊ら以来となる6人目の記録でもあるが、加治屋は首を横に振った。「連続で活躍した時がない。そこは自分の課題というか、変えていかないといけない。それぞれの球団で1年ポンってやれる選手は何人もいるので」。来季の重要性は、誰よりも分かっている。

 今季現役引退を決断した原口の引退試合には、練習後に飛行機に飛び乗って甲子園まで駆けつけた。去って行く仲間の思いを背負っていく使命もある。「戦力外から取っていただいて、こうしてたくさん投げさせてもらえる喜びはすごくあります。やっぱり一球団で活躍できれば、それが一番いい。でも必要とされていると思える数字の一つだと思うんで、うれしい数字ではあるかな」。加治屋の恩返しには、まだ続きがある。(デイリースポーツ・松井美里)

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