【野球】なぜ広島・中村奨成は赤松三塁コーチに謝罪したのか 8月27日・巨人戦の試合中にあったやり取りの裏側
8月27日・巨人戦(マツダ)の試合中、広島の中村奨成外野手(26)は三塁コーチャーを務める赤松真人外野守備走塁コーチ(42)に「すみません」と謝罪した。理由は、0-0で迎えた五回無死二、三塁の場面での“走塁ミス”にあった。
二塁走者だった中村奨は、ファビアンの左前適時打で一気にホームを狙い、ヘッドスライディングで生還。球場は大きく沸いたが、実は三塁ベースコーチャーの赤松コーチは「ストップ」と両手を広げて制止していた。
指示を無視したようにも見えたが、実際はそうではなかった。「本人に聞いたら『見えていなかった』と言ってました」と同コーチ。中村奨自身も、チームメートから言われて初めて指示に従っていなかったことに気づいたという。それほど夢中にホームを目指していた。
得点にはなったが、赤松コーチは厳しく指摘する。「結果論でしかないですからね。アウトだったらどうなっていたか。もしかしすると2軍に落ちていたかもしれない。そうなった時に本人がすごく後悔すると思うんですよ」。実際、左翼からの送球は三塁側にそれており、ストライク送球であればアウトになっていた可能性もあった。
それでも怒ることはなかったという。「じゃあなぜそういうことになってしまったのか。やっぱりまだ視野が狭いんですよね。1軍で試合に出続けた経験がまだないので、一生懸命になりがちですけど、視野を広げていかないと彼自身のパフォーマンスも上がってこないですから。彼は『赤さん、怒ってくださいよ』って言ってましたけどね」と冷静に分析し、中村奨にもそう伝えた。
大事なのはミスを繰り返さないこと。「すごいスピードと良い判断で(三塁ベースまで)来てくれているのはいいことなんですよ。次からこうならないように、取り組めるような選手になってほしいですよね」と期待を込めた。
そして翌28日の同戦では、中村奨が見事が活躍を見せる。6号2ランを含む4安打3打点の大暴れ。赤松コーチの指示をしっかりと受けながら、4度ホームを踏む完璧な走塁を見せた。お立ち台では「何とかチームに勢いを持ってこられるようにやっている。1勝でも貢献できるように頑張っていきたい」と宣言。ここまでキャリアハイのシーズンを過ごし、「1番・中堅」の座をつかもうとしている26歳の若鯉。全ての経験をさらなる飛躍につなげていく。




