【野球】投手支える楽天・村林の「言霊」 藤平「抑えられている1つの要因」ベテラン・鈴木大も「頼もしい」
Aクラス入りを懸けて、4位・楽天は3位・オリックスを猛追している。直接対決では現在5連勝中と強さを見せている中で、村林一輝内野手(27)らナインが窮地で掛け合う「言葉の力」に迫った。
連日の熱戦が続いた夏の甲子園も決勝カードが決まる最終局面を迎えた。春から始まったプロ野球も終盤戦。Aクラス入りを懸けて4位・楽天もラストスパートに入るが、走攻守だけでは語れない「言葉」が持つ強さに光を当てる。
孤独な投手を救う存在が村林だろう。今季、苦しむ投手のところに駆けつけて声をかける姿を何度も見た。ベンチから見つめるその光景に、ベテラン・鈴木大も「今、一輝(村林)がそうやって引っ張ってくれているので、すごく頼もしいですよね」とうなずいた。
今やベンチに欠かせない存在の鈴木大だが、かつて言われた言葉が忘れられないという。「昔、福浦さん(現ロッテ2軍監督)に『ピッチャーを一人にするな』っていうことを試合後に言われた。そこから声かけをしようと思いましたね」。ハッとし、今も染みつく先輩からの教え。後輩が見せる姿勢に当時を懐かしみながらも、「僕らもまだ負けるつもりはない」と優しく笑った。
言葉の持つ力-。その答えを問えば、村林は「言霊。良くも、悪くも発した方向にいく」と信じる。幼い頃から両親に「言ったようになるよ」と教わり、できる限り「ポジティブに」という信念がある。ピンチを背負う投手には後ろを守る内野手として「僕は俯瞰(ふかん)して見られる」と、冷静に状況を伝えることに徹している。
今季ここまで6セーブを挙げている藤平は「村林さんの声かけは、僕の中で抑えられている1つの要因でもある」と証言。そこには、信頼関係が成り立つからこそ響くものがあった。「僕のことをわかってくれている上で、『いつもお疲れさん。本当に疲れていると思うけど、ここ抑えて次の回につなげていこうな』みたいに、気持ちの会話をしてくれます」。勝敗の鍵となる重要な役割を担う二人だからこそ、鼓舞し合い、高め合った。
143試合という長い旅路の中で、必ず好不調の波はやってくる。訪れる試練にどう立ち向かうか。三木監督は言う。「言葉に力はあるよ。大事なのは言ったで終わらないこと。僕らができることは選手たちにきっかけを作ることで、その言葉がわかるのは今日なのか、3年後なのか、10年後なのか。わからないけどね」。一丸で戦った先に見るAクラス入りへ。それぞれの持つ言葉の力で、未来を彩っていく。(デイリースポーツ・松井美里)





