【野球】阪神 坂本誠志郎が見せた気迫の表情 攻撃の流れを呼んだ2安打 守備だけではない貢献度 最高出塁率で“隠れ首位”
「阪神6-2ヤクルト」(9日、京セラドーム大阪)
二回、先頭の坂本誠志郎捕手が中前打を放った直後、思わぬ光景が目に飛び込んできた。一塁へ向かう途中、自軍ベンチに向かって吠えた。16打席ぶりに響いた快音。ベンチでは梅野や木浪が拍手で坂本をたたえた。
8日のゲームでは4打席連続三振を喫していた。さらに7日の中日戦ではプロ入り初の1試合2捕逸を記録し、途中交代していた。正捕手としてチームを引っ張り続ける中、疲労度は計り知れない。捕手分業制が主流となる中、規定打席到達者はリーグで1人もいない状況だ。
それでも投手陣を支える女房役。先頭をきれいに捉えた中前打、そして見せた気迫の表情がチームに流れを呼ぶ。後半戦初の連敗を喫していた中、初回にミスが絡んで1点を先制された。それでも直後に森下が名誉挽回の右前適時打を放ち、試合を振り出しに戻した。二回表は安打を許しながらもデュプランティエがスコアボードにゼロを刻んだ。「次の1点」をどちらが奪うか-。序盤の主導権を握る局面だったように思う。
坂本のヒットで京セラドームの雰囲気が高まったのがその証。続く高寺も粘って粘ってから放った安打で無死一、二塁と好機を拡大した。さらにデュプランティエへの初球がバッテリーエラーとなって二、三塁。1死後、近本の遊ゴロ間に坂本が勝ち越しのホームを踏んだ。
同点の八回には2死一塁から遊撃内野安打を放って好機をつないだ。その後、2死満塁から代打・木浪が押し出し四球を選び、続く近本が右中間を破る走者一掃の3点三塁打。藤川監督は「本当に選手たちと、それからまた球場のファンの方々とともに球場の雰囲気、ボルテージが上がってきて、一気に相手を押し込めたかなと。本当にチームとファンが一体となって勝利を呼び込んだ。そういうゲームになりましたね」と語った。それを呼び込んだのは坂本の2本の安打だったように思う。
四回の第2打席で選んだ四球も含め、1試合3出塁をマーク。規定打席到達未満ながら出塁率は・362へと上昇した。現在、規定打席到達者でトップの中野がマークする・357を上回っている。捕手という過酷なポジションだけに休養は必要だが、仮に規定打席に到達して最高出塁率のタイトルを獲得するとなれば、セ・リーグでは2012年の巨人・阿部慎之助(現監督)に次ぐ史上2人目の快挙となる。
守備面での貢献だけでなく、打撃面でも下位から上位へ向かう中で坂本の働きは見逃せない。試合後、報道陣に「チームに迷惑をかけていたので、よかったと思います」と語った坂本。攻守で示す存在感の大きさを感じさせたようなゲームだった。(デイリースポーツ・重松健三)





