【野球】阪神 高寺望夢と球団をつないだ縁 コロナ禍の高校球児を救済した練習会「1人だけ動きが違った」2020神ドラフトでまた新星

 「DeNA1-1阪神」(13日、ハードオフエコスタジアム新潟)

 阪神の高寺望夢内野手が土壇場の九回2死からプロ1号となる同点アーチを放った。ビジターゲームで追いついてのドローに持ち込んだだけに、1勝の価値があると言っても過言ではない一撃だった。

 高卒5年目の内野手。阪神との縁を結んだのはコロナ禍の2020年に東京ドームで行われた「プロ志望高校生合同練習会」だった。同年の夏の高校野球選手権が地方大会を含めて全面中止になった。スカウト活動も制限され、選手の成長を追うことができなかった。

 部活動が全面中止となる学校も多く、普段の練習時間も制限された。練習試合もできず、史上まれに見る大混乱に陥っていたアマチュア野球界。そのため日本高野連とNPBで合同練習会を実施した。

 東日本会場と西日本会場に別れて行われたトライアウト形式の練習会。東京ドームのスタンドでは51人のスカウトが目を光らせた。そこで目に留まったのが高寺。担当の平塚スカウトが当時、「1人だけ動きが違っていた」と高評価していたのを覚えている。

 最終的に阪神はドラフト7巡目で高寺を指名。なかなかスカウト活動が困難だった中、当時の練習会が開催されていなければ、支配下での指名には至らなかった可能性もある。もちろん苦しい環境でも技術を磨き続けた高寺の成長も支配下指名を勝ち取った要因の一つ。互いにメリットが生まれた結果になった。

 当日の会議で名前が呼ばれると笑みを浮かべた高寺。「諦めかけてたんですけど、最後の最後で呼ばれてほっとしてます。選ばれた瞬間はとても震えたというか、とてもうれしかった」と語った。同年のドラフトは1位・佐藤輝、2位・伊藤将、5位・村上、6位・中野、8位・石井と多くの選手が1軍で主力として活躍してきた。阪神ファンの間で「神ドラフト」と称される年。その指名選手の中でまた1人、コロナ禍の苦しみから成長した若虎が加わった。(デイリースポーツ・重松健三)

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