【野球】遊撃の定位置をつかみかけた矢先の2年連続故障離脱 阪神・小幡は藤川監督の言葉を今後にどうつなげるか「どうすればこういうことがなくなるのか」

 阪神・小幡竜平内野手が12日、出場選手登録を抹消された。11日の中日戦で2打数2安打しながら、六回の守備から途中交代。不測のアクシデントが発生したことは明らかで、試合後に藤川監督は「また改めてになるかな。もう少し待ってもらいたい。本人とも話せていないので、トレーナーから何かあるかもしれないです」と話していた。この日、病院を受診した結果、「左下肢の軽度の筋挫傷」と診断され、抹消の判断が下された。

 藤川監督は「この段階なんで、一度登録を外して。長引くよりも、という判断になりましたね。筋肉のことなんで、軽度のところから無理してやると、シーズン全般に対して難しくなってくることは考えられますからね」と、だましだましやる中で悪化して長期離脱になることを避け、治療、リハビリに専念して早期復帰を目指す方針を選択したことを明かした。

 開幕の1カ月ほど前、遊撃は木浪で決まりという空気感があった。藤川監督はキャンプ序盤、遊撃は競争、レギュラー白紙の図式を打ち出していた。だが、2月22日の楽天とのオープン戦で木浪が3安打を放ち、実戦5試合で10打数5安打の打率・500という成績を残すと、藤本総合コーチが「誰にも文句を言わせない姿と結果で周りを認めさせている」と話すなど、勝負付けは既に終わったという雰囲気も漂っていた。

 開幕スタメンは木浪だったが、転機は突然訪れた。4月17日のヤクルト戦で木浪が1点リードの九回2死二塁から同点に追いつかれる適時失策を犯すと、1試合の欠場を挟んだ19日の広島戦で適時失策を含むまさかの1試合3失策。小幡は開幕からそれまで3試合のスタメン出場だったが、20日の同戦から18試合連続でスタメン出場を続けた。

 その間、2度の3試合連続無安打を含む最長で15打席連続無安打と結果が出ない日もあった。内容が乏しく映る打席も多く、見ているこちらはそろそろ限界かと思う時があった。それでも藤川監督はスタメンに小幡の名前を書き続けた。

 月が替わった5月1日の中日戦から3度のマルチ安打を含む6試合連続安打。勝利を求めつつ、チーム内の代謝も促す藤川監督の根気、腰を据えた起用には驚きを覚えた。8番だった打順が2試合で6番にもなった。11日の中日戦でも2安打を放つなど今月は打率・344と調子を上げ、守備範囲の広さと、強肩を売りとするディフェンス面でも13試合連続無失策と安定感を見せていただけに何とも悔やまれる離脱となった。

 昨年もあった。木浪が6月15日のソフトバンク戦で死球を受け、左肩甲骨を骨折。小幡は翌16日からスタメン出場となったが、7月17日の巨人戦で左太もも裏側の肉離れを発症。月間打率・372と好調を維持していた中、戦線離脱を余儀なくされた。再び1軍に戻ってきたのはシーズン残り2試合となった9月30日だった。

 藤川監督は言う。「アスリートなんで、故障は絶対ありますからね」とした上で、「どうすればこういうことがなくなるのか。どうすれば早く治せるのか。アスリートはそれを勉強しながら失敗とともにいきますから」と語った。

 指揮官が言葉にしたように、今後の小幡にとって大事なのは、アクシデントによる離脱をいかに防げるかだ。今回も、昨年も、しようと思ってしたケガではないはずで、食事、トレーニング、治療、メンテナンスなども含めて、最善の努力をしていただろう。ただ事実として、小幡は戦列を離れることになった。

 古くから野球界に通じるフレーズがある。『ケガの多い選手はレギュラーにはなれない』。小幡を決して責めるつもりはない。一番つらいのはファンでもチームでもなく、本人だからだ。必ずやこの壁を乗り越えて、「小幡、強くなったな」と言われる時が来るのを待ちたい。(デイリースポーツ・鈴木健一)

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