【野球】キャンプはランチ特打もアピールの場 1990年、度肝抜かれたルーキー新庄剛志のフリー打撃

 2024年のシーズンに向けて、プロ野球12球団で春季キャンプがスタートした。今後、どこの球団もペナント制覇、日本一の座を獲得するため調整していくことになる。

 タイトルホルダーや実績あるベテラン選手は自らの調整方法を把握しており、ベストの状態で開幕に突入できるように日々の練習に汗を流していくだろう。一方、今季からプロ野球選手の一員になったルーキーたちはけがに細心の注意を払いながらも、首脳陣に対してアピールをしなくてはいけない。

 そんな中、DeNAのドラフト1位・度会隆輝外野手(21)などは沖縄・宜野湾キャンプ初日のフリー打撃で早くも柵越えを披露。巨人のドラフト1位・西舘勇陽投手(21)も宮崎キャンプ初日からブルペン入りするなど順調にキャンプを滑り出している。

 だが、キャンプではドラフト上位指名選手や大学・社会人出身の即戦力として期待されるルーキー以外にも、信じがたい輝きを放つ人間を目の当たりにすることがある。まさに、日本ハムの新庄剛志監督(52)がそうだった。1990年、高知・安芸で行われた阪神の春季キャンプで、彼がプロ野球選手として覚醒した瞬間に立ち会ったと思っている。ランチタイムに行われる新人の特打でのことだ。

 キャンプではどの球団も1、2軍は別メニューで練習しており当然、取材は1軍が中心となる。高卒でドラフト5位指名の新庄は2軍スタートで、キャンプ以前に彼を取材したのは、前年12月に実施された新人の入団発表の当日ぐらいなものだった。その際も印象に残った発言はわずか2カ所。ひとつ目は「プロ野球選手になっていなければ」という質問に「プロ野球選手になっていなければ、サッカー選手になりたかった」という答え。もうひとつは福岡ダイエー(現ソフトバンク)ホークスに1位指名されながら、巨人入りを希望して入団を拒否していた元木大介氏(52)に対する「希望がかなうように頑張ってほしい」というコメントだった。後にエンターテイナーぶりを発揮するようになったが、そのときは真面目なごく普通の高校生のごく普通の発言だった。

 背番号「63」のドラフト5位の選手。正直、1軍に上がってくるまでに最低でも3年、いや5年はかかると思っていた。ところが、ランチタイムの特打には度肝を抜かれた。打撃投手の投げるボールを打つだけだったが、フルスイングしたバットからはじかれたボールは、面白いようにスタンドに飛び込んでいった。

 まさに圧巻の特打。夢中でスタンドに飛び込んだ数をカウントし始めたが、途中からでも80本を超す打球がスタンドインしていた。最初から数えていれば確実に100本は超えていただろう。

 特打終了後、慌てて捕まえ取材したが、そのときに言われた言葉は今でも鮮明に記憶している。「こんなときばかり取材にきて…。今は話しますけど、僕が有名になったらもう話しませんからね」。本気だったのか冗談だったのか-。今もその真意は謎だ。だが、キャンプではどんな原石が転がっているのか分からない。後にそう思い知らされた。(デイリースポーツ・今野良彦)

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