【野球】阪神・岡田監督が見せた“配慮の采配”岩崎に「獲らせたらなあかんやろ」勝利最優先の裏で「給料上げたらな」の信念

 大竹にウイニングボールを手渡す岩崎(右)=撮影・山口登
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 「阪神タイガース5-1広島東洋カープ」(9日、甲子園球場)

 もしセーブシチュエーションになれば、どうするか-。4点リードの九回2死一、二塁となったところで岡田監督はベンチを出て投手交代を告げた。球場にコールされたのは岩崎。さすがの“配慮”だなと思った。

 チームを勝利へ、優勝へ導くことが監督としての最大の役割。一方で岡田監督は選手たちの個人成績をくまなくチェックしている。評論家時代に「選手の給料上げたらなアカンと思ってな」と監督としてのポリシーを語っていた指揮官。この日もセーブシチュエーションになっての起用だったことを明かす。

 「いやいや、セーブ。3点差やったら(九回の頭から)いかしとったけどな」と明かし、「よう(ランナーを)出しよったわ。うまいこと桐敷もあれでセーブがついたわけやからな」と説明した。4点差でも2者連続本塁打で同点になる状況を守ればセーブとなる条件を把握した上で、満を持しての守護神投入だった。

 岩崎は打者1人をわずか2球で打ち取り、リーグトップの31セーブ目を挙げた。試合前まで中日のR・マルティネス、ヤクルトの田口と並んでいたが、一歩飛び出した形だ。「(タイトルが)狙えるところにおったらな、そら獲らせたらなあかんから。2人、2人(出ろ)言うとったんや」と岡田監督。マジックを一気に7へ減らし、2位・広島に10ゲーム差をつけた。さらに岩崎も単独セーブ王に立った。

 プロ入り初の10勝がかかっていた大竹についても「この時期になったらな、自分の得意なところに行かせてやらんとな」。あえて試合前時点で4勝0敗、防御率0・76だった広島戦にぶつけた。左腕もその期待に応え、七回途中1失点で見事に節目の勝利を手にした。

 床田と最優秀防御率を争っている村上についても、8月末の時点で「そらあ、あそこは見てるよ、防御率のところはいつも。昨日でなあ、トップになったんよな」。防御率ランキングでトップに立っていた広島・床田が同24日のDeNA戦で5回3失点となり、1・90から2・03へ下降したことをしっかりチェックしていた。

 その上で規定投球回へ到達するイニング数、自責点による防御率を勘案しながら起用を続けている岡田監督。選手の個人成績に配慮しながらのタクト。それが今、9月負けなしの7連勝という最高の成績につながっている要因の一つとも言える。

 チームの勝利を最優先にしながらも、タイトル獲得、そして個人成績を上げてあげることで選手の自信、そして年俸にも直結する。すべてが好循環となって無類の強さを発揮している阪神タイガース。優勝マジックを「7」とし、独走Vへのカウントダウンが始まった。(デイリースポーツ・重松健三)

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