【野球】「やるな岡田はん」「お見事」 阪神ファンが納得した采配、広島戦連勝をもたらした指揮官の決断

 阪神・岡田彰布監督の戦術がファンに好評だ。18、19日に甲子園球場で行われた広島との首位攻防3連戦で連勝を決め、単独首位に浮上した。

 18日の初戦は西勇と九里の息詰まる投手戦となった。八回終了時で西勇は114球を投げていたが、岡田監督は「自分で白黒つけてこい!」と九回のマウンドに送り出した。

 さかのぼること2週間前。今季初登板となった4日の広島戦。3点リードの七回無死一塁。佐藤輝の失策で背負った走者だっただけに踏ん張りたいところだったが、坂倉に2ランを浴びて降板となった。勝利投手の権利は得ていたが、八回に浜地が同点とされたことで西勇の勝利は消えた。今季初登板を考慮した99球での継投だったのかもしれないが、結果として西勇に白星をつけてあげられなかったこともあり、岡田監督は18日の試合を西勇に託した。

 両軍無得点の九回2死三塁から、マクブルームに左翼線二塁打を浴びて先制点を許した。両手を膝に付いてうなだれた右腕。124球。だが、岡田監督はここで西勇を代えなかった。西勇も踏ん張って西川を見逃し三振に仕留めた。このタクトが刺激となってドラマを呼ぶ。九回2死満塁から、中野が左越えに逆転サヨナラの2点適時二塁打。岡田監督は歓喜に沸く一塁ベンチ前で右手を差し出し、西勇は帽子を取って指揮官の手を熱く握り返した。

 中野はお立ち台で「西さんが9回を1点で抑えてくれて。黒星をつけるわけにはいかないと思った。なんとか自分がかえすことができて、西さんに白星をつけることができて良かったです」と語った。ネット上でも「岡田監督と西君の握手はシビれた」「西を信じた采配いいね」「会社でいう上司と部下の絆を深めるいい試合やった」と、劇的勝利と岡田タクトを称賛する言葉にあふれた。

 19日の2戦目では、0-0の五回無死一、三塁の先制機で坂本が初球にセーフティースクイズ。結果ファウルとなったが、広島バッテリーがバントのやりにくさも考慮して選んだ可能性のある2球目の外角高め直球を今度は強攻策で先制の右犠飛とした。ネットでは「ここでスクイズか やるな岡田はん」「相手の配球読めてる」「失敗を先制点に結びつけた采配はお見事」「手堅さから一転の作戦読めなかった 勉強しよ」などと、ファンが岡田采配に惹きつけられているコメントが集まった。

 興味深かったのは先制点を奪った後の采配だ。1死一塁で木浪。避けるべきは併殺。1点は奪ったものの、併殺は相手に流れが傾く可能性が大きく、六回の先頭が投手の大竹から始まる打順となる。ここで岡田監督は初球にランエンドヒットを仕掛け、3球目にはセーフティーバント(ファウル)。5球目にもランエンドヒットで結果は三ゴロだったが、併殺を回避して得点圏に走者を進めた。

 序盤から広島バッテリーがどんどんストライクゾーンで勝負してきた配球の積み重ねもあり、ピッチドアウトされる可能性が薄いと読み切った上での仕掛け。理詰めで編み出した戦法にも、ネットでは「いい仕掛け」「去年までにはない試合展開」「岡田野球面白い」などと、岡田ワールドに引き寄せられたファンの心模様が躍った。

 この場面では大竹が空振り三振となって追加点は奪えなかったが、相手に流れを渡すことも手放すこともなく、1番・近本から始まった六回の2得点につながった。

 12日の巨人戦で7回完全投球の村上を降板させた采配は一時的に賛否あったが、八回に岡本和に同点弾を浴びて村上のプロ初勝利を消してしまった石井を翌日の試合で起用し、右腕は岡本和を中飛に仕留めた。投手コーチが推薦した投手ではなく、「今日やり返そう」とした起用がファンの心を熱くさせると同時に、石井も「そういう意気に感謝したいですし、そこで結果を出せて良かったです」と、即座にリベンジの舞台を用意してくれた指揮官に感謝した。

 18年ぶりのアレに向かって戦い続けている阪神。白星を積み重ね、時に黒星を喫する中でも、ファンは15年ぶりにタテジマに袖を通した岡田監督の思惑、采配、戦術に興味をそそられている。(デイリースポーツ・鈴木健一)

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