【野球】広島・新井監督 赤ヘル伝統の系譜、新人優勝監督へ- 前任者2人との共通点とは

 広島・新井貴浩監督(46)、赤ヘル伝統の系譜、新人優勝監督へ-。故古葉竹識氏、阿南準郎氏(85)の前任者2人との共通点が後押しする。

 オールスター・ゲームを前に、プロ野球がにわかにヒートアップしてきた。セ・リーグでは一時、首位を独走していた阪神が交流戦で失速。阪神、DeNA、広島の3チームが3ゲーム以内にひしめく混戦状態になっている。その状況を作り出しているのが、新井監督が指揮を執る広島だろう。

 9日の中日戦では、西川龍馬(28)の8号3ランで3連敗を阻止。11日からは1・5ゲーム差で追いすがる4位・巨人との3連戦(東京ドーム)、15日からは2位・DeNA(横浜)との連戦が控えている。成績によっては首位で後半戦に突入する可能性もある。

 打つ方では西川に加え、秋山翔吾(35)、坂倉将吾(25)らが開幕から安定した成績を残している。また、投手陣では床田寛樹(28)、九里亜蓮(31)の2本柱がそれぞれ7勝1敗の防御率1・73、6勝4敗の防御率2・32と好成績を挙げている。だが、昨季まで絶対的な守護神・栗林良吏(27)が10日時点で1勝6敗7セーブ4ホールド、防御率5・16と不安定だ。それでも現在は昨季、セットアッパーとして活躍した矢崎拓也(28)が新守護神として4勝0敗14セーブ、防御率2・13で栗林の穴を埋めている。

 実績のあるストッパーのいるチームの監督は、その投手が不振や故障で離脱を余儀なくされた場合、その代役選びに苦労する。ある程度チームを指揮していれば選択肢は広がるが、新人監督ではなかなか決断は難しいだろう。新井監督の内面の葛藤までは推し量れないが、うまくシフトチェンジした。

 このままの勢いを維持すれば、広島を新人監督ながら優勝に導いた故古葉、阿南両氏に続く可能性もある。私は担当記者としてこの2人の監督を取材していた。古葉氏に関しては広島の監督に就いて最晩年だったが、阿南氏に関しては監督就任以前のコーチ時代からよく話を聞かせたもらった。

 この両氏に加え、新井監督にはある共通点がある。広島一筋ではなく他球団でプレーし、コーチとしても野球を学んだ経験があるという点だ。故古葉氏は選手として故野村克也氏が兼任監督を務めていた南海(現ソフトバンク)にトレードされ、現役引退後もコーチとして野村野球を学んでいる。また、阿南氏も1968年に広島から近鉄に移籍。引退後も2年間チームに残り、選手の指導に当たっている。両氏にはその時代の話をよく聞かされた。新井監督はFAで阪神に移籍。その後、広島に舞い戻っており、完全な広島一筋ではない。

 プロ野球では指導者に生え抜きのOBを選ぶケースが多い。悪いことではないが、他球団のチーム事情、フロントを含めた選手育成術などを学ぶことは必ずプラスになる。新井監督就任に際し、確かに指導者経験のないことを不安視する声もあった。だが、他球団での経験を生かした故古葉、阿南両氏は就任1年目で優勝を勝ち取っている。新井監督は間違いなくその系譜を受け継いでいると思う。残りのペナント・レースが楽しみである。(デイリースポーツ・今野良彦)

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