【野球】逸材発掘へ プロ野球のスカウティングに新たな風

 第102回全国高校野球選手権の中止を受けて47都道府県で今夏に代替大会が開かれる中、NPBスカウト陣はコロナ禍の自粛期間が明けて活動を再開させている。春にチェックできなかった各地の候補を視察しようと、例年以上に東奔西走。スカウティングに新たな風を吹かせている球団も目立つ。

 オリックスは日本球界初の女性スカウトとして、今年から乾絵美スカウトが精力的に活動している。現役時代は女子ソフトボール日本代表の捕手として、2008年北京五輪で金メダルを獲得。「どんなチームでもまずキャッチャーを一番見てしまう」と自身と同じ扇の要はもちろん、他のポジションも見逃すことなく追いかけている。

 7月12日には強肩強打で注目される磐田東・二俣翔一捕手(3年)を視察した。静岡のほか、チームのお膝元・関西地区も担当。ジュニアチームに10年関わった経験も生かしつつ、野球とも親和性のある競技で培った独自の視点から逸材発掘を目指す。

 巨人では4月から、水野雄仁巡回投手コーチがスカウト部参与を兼務となった。二回途中で降雨ノーゲームになった7月1日の巨人2軍と東芝とのプロアマ交流試合。水野スカウト部参与は自軍ベンチではなくバックネット裏に陣取り、今秋ドラフト候補に挙がる東芝・長沢吉貴外野手らに視線を注いだ。

 7月5日には高校屈指の左腕・高田琢登投手(3年)を擁する静岡商の練習試合にも足を運んだ。「いい選手を取れるように頑張ります」と未来の主力となりうるアマチュア選手を確認するべく、全国各地を飛び回る。

 スカウト、現場、フロントといった立場のさまざまな思惑が入り交じるドラフト戦略。巡回投手コーチとして現場の状況も把握可能な水野スカウト部参与は、スムーズな意見のすり合わせに一役買う存在にもなりうる。

 加えて巨人は6月末に、「読売巨人軍OBスカウト」として21人と新たに契約を締結した。メンバーは石毛博史氏ら主に少年野球に携わる全国各地の球団OBが中心。有望選手の情報提供を求めていく方針だ。

 小学生時代に中日ジュニアでプレーしていた中日・根尾や侍ジャパンU15代表メンバーだった阪神・及川のように、高校生以前から数々の実績を持つ選手が続々とプロ入りを果たしている。ドラフト対象となる前段階からアンテナを張り巡らせておけば、“金の卵”獲得へ近づく可能性は十分だ。(デイリースポーツ・佐藤敬久)

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