【野球】日本ハム・栗山監督の読書術 手間と時間を掛けて自分の糧に

 日本、世界がコロナ自粛のまっただ中。自宅での余暇時間を読書に充てる、もしくは充てようとしている人は少なくないだろう。多読、精読に、時には積ん読になることも-。そこで、球界きっての読書家で知られる日本ハム・栗山英樹監督の読書術を紹介したい。

 昔から読書好きだったという指揮官は、少年時代にベーブ・ルースと王貞治氏の伝記に熱中した。

 「ベーブ・ルースは野球が人生を救った。子どもとの約束のホームランとか、野球で頑張ると誰かのためになれる可能性があるって。王さんは、自分で一本足を編み出した努力や苦労が、小学生の時にすごく印象に残っている」。

 2人の生きざまが自身の原点、その後の道しるべになった。今を生きる子どもたちにも、人生を変える本に出会ってほしいとの願いがある。

 そんな栗山監督の読書熱は、今でも全く衰えていない。ジャンルも幅広く、論語や禅といった思想書に、組織論やスポーツ論、時には漫画を楽しむことも。もちろん一度では読み進めない難解な部分も出てくるが、そんな時には読書ノートが役に立つ。

 読書中に気になった箇所に線を引き、ノートにメモする。途中まで分かった部分だけを整理して、分からない部分は時間を置いてから再び取りかかる。そうすれば不思議と、「すーっと頭に入る」ことがある。とにかく「読みっぱなしだと頭に残らない、書くという作業をしないと使えない」というのがモットー。手間と時間をかけながらも、とことん理解し自分の糧にするのが栗山流の読書術だ。

 現在はオンライン取材に応じる傍ら、おすすめの本をメディアを通じて紹介している。三島由紀夫の『葉隠入門』や、原田マハの『本日はお日柄もよく』等々、感銘を受けた本の魅力を熱っぽく語る姿に、こちらも思わず「読んでみたい」と感じさせてくれる。

 一方でふと、別の好奇心も生まれた。「読んで後悔した本、読まなくてよかった本はあるのか?」

 その質問に、栗山監督は「読んでみて自分とあまりに違う感覚だったとか、嫌な思いをしたことはいっぱいある。けど無駄はない、無駄が大事なんだと思う。途中でやめたら大嫌いで終わってるんだけど、読み進めることによって『そうなんか』ということがある」

 著者の主義主張、生きざまや人生観は星の数ほどある。それでも自分には合わないからと投げ捨てず、辛抱強くつきあうことで見えるものもある。個性豊かな選手達を、理解し束ねる監督業にも通じるものがあるのかもしれない。

 今では、オンライン授業の観を呈してきた栗山“先生”とのオンライン取材。「俺の押しつけの感じ?大丈夫?でもこういう機会に、『あの監督めんどくせえな』とか思いながらでも、本を読んでみた方がいいからね」と念押しした。(島田敬将)

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