【野球】オリックス 初対面の人に「何してる人?」と言われたい山岡

 オリックスは大阪市此花区舞洲にある球団施設で自主練習を続けている。山岡泰輔投手は率先して球団のインスタライブに登場してファンからの質問に答えていた。そして自らのトレーニングの様子を中継するサービスも行っていた。ファン思いの山岡らしい行動だと思った。

 ルーキーイヤーから3年連続で規定投球回数に到達し、昨季は13勝4敗で勝率1位投手のタイトルも獲得。プレミア12の侍ジャパンにも選出された。4年目の今季も2年連続の開幕投手に指名されるなど順調に成長を続けている。

 間違いなくスゴい投手だが、そのシルエットだけを見れば、そんな活躍は想像できない。公称172センチ、68キロ。上背があるわけでもなく、横幅もない。というより一般人の中に入っても相当にスリムだ。

 新人のころ「ユニホーム脱いだら野球選手に見られたくない。初めて会った人に“何してる人?”って聞かれたい。サッカー選手?とか言われたらマジうれしい」と楽しそうに話していたことを思い出す。

 ガッチリした体格で迫力満点の典型的なプロ野球選手像は山岡の中になかった。体を大きくすることよりも体の隅々まで知り尽くすこと。1年間投げ切るために、そこに重点を置いていた。

 全力で投げればMAX150キロは軽く記録するし、スライダーの変化は球界随一。チェンジアップも相当なレベル。新球シュートもすぐ習得した。その器用さこそ、山岡が自分自身の体を知り尽くしている証拠だろう。

 それだけではない。チームメートから「山岡はスゴい。ずっと研究している」と聞く。ロッカーではいつもデータとにらめっこ。相手打者の研究は誰よりもしている。だからこそなのだが、山岡には取材NGの日がある。先発投手恒例の登板前日の囲み取材を断っている。

 「前日だと相手の研究がまとまってないから話すことが難しい」

 代わりに登板当日は取材に応じる。それも質問がある限りいつまでも。30分を軽く超え、広報がさすがに止めに入ることがあるほどだ。

 「全然いいッスよ。別にやることもないし」

 登板当日の先発投手なんて緊張感を漂わせチームメートでも近寄りがたい。そんなイメージだったが、山岡は違う。

 なにもかも規格外の男。プロ4年目はどんな姿を見せてくれるのか、開幕が待ち遠しい。(デイリースポーツ・達野淳司)

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