【野球】阪神・梅野が言い訳しないワケ

 いつも不思議だった。阪神・梅野隆太郎捕手(27)は言い訳を一切しない。試合に負けた日、質問は主に打たれた場面について聞くことになる。その際、コメントの最後は「バッテリーとして反省しないといけない」で締めくくられることが多い。投手の明らかな失投だった時もだ。

 自分の発した言葉が新聞に掲載されるとはいえ、投手のミスであれば言い訳がましくなってもおかしくない。最初はかばっているのかなと思っていたが、梅野の声色や表情からそうは読み取れない。いつも、本心から言っているように感じていた。

 例えば8月21日・中日戦(ナゴヤドーム)でのこと。初回、1死一、三塁で打者・ビシエド。カウント2-2から梅野は内角にミットを構えた。岩貞の投球は真ん中に入り、3ランを打たれた。試合は初回の3点が重くのしかかり、敗戦となった。

 試合後、扇の要はいつものように「バッテリーとして反省しないといけない」と話した。厳しい表情で淡々と。

 「バッテリーとして反省」の言葉を発する理由として、梅野は「例えば打たれる前の1球目だったり、緩急を使うことだったり、そういうことを考える場面は1試合で必ずある」と説明する。1人の打者を打ち取るため、最善の配球を求めるからこそ、打たれた結果だけではなく常に過程に目を向ける。

 とはいえ、自分が完璧な配球をして打者を追い込んでも、失投一つでそれが水の泡。難しい仕事ではあるが、「その分、勝った時はバッテリーとしての喜びも大きい」と捕手としての醍醐味(だいごみ)を口にした。

 ビシエドに一発を浴びた中日戦の翌日。練習前に真剣な表情で会話し合う梅野と岩貞の姿があった。勝利の喜びを分かち合うため、虎の正妻は投手に寄り添い続ける。(デイリースポーツ・山本航己)

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