【野球】「21世紀枠」指導者の言葉「1点差でも10点差でも負けてはいけない」
第90回センバツが記念大会として開催されている。24日は「21世紀枠」の2校が登場し、由利工が東京大会優勝の日大三(東京)に0-5で、膳所は北信越大会優勝の日本航空石川(石川)に0-10で敗れた。
点差だけ見ればともに完敗だが、堅実な野球を見せた由利工、データ野球の膳所と持ち味を発揮し、見どころは多かった。また、敗れた指揮官の言葉には、18年目を迎えたこの「枠」の意味を感じることができた。
由利工はエース右腕の佐藤亜蓮(3年)が1試合平均10得点の強力打線を相手に臆することなく挑み、小刻みに得点されたが、大崩れはしなかった。「ユニホームを真っ黒にして、ゲームセットの瞬間は倒れ込むくらいに集中してやろう」と試合前にナインに話した渡辺義久監督(39)は「自分たちの野球を信じてやってくれた」と評価。エースには「思い切って投げるストレートが通用したことには自信を持っていい。あとはコントロールと変化球でストライクをとれること」と夏への課題を明確に掲げた。
東京の強豪私立と雪深い東北で地元出身者ばかりの公立校。「技術勝負ならコールド負けのようなことになったかも」と同監督が言うのも本音だろう。しかし、5点という得点差に満足感はまったくない。「絶対に勝ってやるという気持ちは忘れてはいけない。21世紀枠でも選ばれたところでスタートラインは(日大三と)同じ。1点差でも10点差でも負けてはダメなんです」と言いきった。「勝負に結びつくように夏までに練習を見つめ直したい」。聖地への思いは改めて強くなったようだった。
また、大胆な守備のポジショニングで日本航空石川を驚かせた膳所の上品充朗監督(48)も「こういう枠で甲子園に出て、しっかり試合ができなかったらどうしようと怖かった」と語った。その上で「相手のことより、選んでもらったことを一生懸命出そうと思った。結果は敗れたけど、評価してもらったことはある程度出せたと思う」と振り返った。
「21世紀枠」導入に当時の日本高野連事務局長として尽力した田名部和裕氏は、「背中を少し押してあげれば、子どもたちはものすごく伸びる。そのきっかけにしたかった」と話していた。誰かの期待を背負って大舞台に立てる機会は人生でそれほど多くない。教え子たちの背中を押すために、重圧と戦いながら、指導者も夢を追っている。(デイリースポーツ・船曳陽子)



